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積水ハウス100周年へ、生き残りをかけた経営戦略はあるか(15)
連載コラム
2011年7月 4日 07:00

<エコ政策(2)~原発に次に来るもの>

 地球環境保護、地球温暖化防止のため、脱石油から、「クリーンな原発の推進」へと舵を切り始めていた矢先、福島原発事故が全世界に衝撃を与えた。一気にエネルギー政策の転換を考慮しなくてはならない状況になってきた。ドイツ、イタリアを除いて、フランス、アメリカなどは原発の廃止までとはいかずとも、新設の抑制がされることが予測される。

 同事故により、「クリーンな原発の推進」から一気に「脱原発」へと各国は舵を切らざるを得なくなった。自然エネルギーの利用に拍車がかかり、太陽光発電、風力発電の開発を急ぐものと思われる。日本政府、菅首相は脱原発を目指して「再生可能な自然エネルギーの買い取り」法案の設立を急いでいる。
 この法案は、電力会社に、太陽光や風力などから供給される電力をコストに見合う価格で買い取らせる法律である。当然、買い取りコストは高いので、電力会社は高い電力料金を消費者に転嫁するものと思われる。それでも、投資額に見合うコストで買い上げられるため損をすることもなく、新規事業者が参入して普及が進めば、将来、量産メリットでコストが相当下がることが期待される。

 そこで登場が待たれるのが「スマートグリッド」だ。「賢い電線網」ということを意味する。今の送電の方式は、東京電力ならその管内における需要のピーク時を、たとえば5,000万キロワットを基準として電力を送りだしている。そのため余計な電力を作り、ムダが多かった。ところが、自然エネルギーは雨、風といった条件に左右され一定しない。晴れの日に、蓄電すればいいのだが、まだ、高性能な蓄電システムは開発されていない。したがって、今のシステムに自然エネルギーを組み込めば、供給が安定せず、停電も起きかねない。
スマートグリッド  「スマートグリッド」とは、ソフトウェアや専用の機器を送電線に組み込み、消費者の電力使用量と電力会社(各家庭からの太陽光発電などの自然エネルギーの電力も含む)の発電量をリアルタイムに一致させ、需要に見合った電力を効率的に供給できるシステムである。

 太陽光、風力などの再生可能なエネルギーの導入のためには、この「スマートグリッド」の導入が不可欠。積水ハウスも環境先進と言われている企業であり、この追い風には絶対に乗り遅れてはならない。すでに、スマートグリッドの研究も着手していると聞く。
 日本政府は、環境、クリーンエネルギーを前面に打ち出している。積水ハウス「エコファースト」企業に追い風が吹いているのだ。このタイミングは逃すべきでない。リスクの多い中国などへの投資より国内への環境事業への投資が重要な気がする。

(つづく)

【野口 孫子】

※積水ハウスへの誹謗中傷するものではありません。

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