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積水ハウス100周年へ、生き残りをかけた経営戦略はあるか(18)
連載コラム
2011年7月 7日 07:00

<海外事業で生き残れるか(1)>

 これからの住宅産業は、少子高齢化の進行で国内の住宅着工数が減少し、過酷な競争になるだろう。ただし、東日本大震災後、積水ハウスの4月、5月の住宅受注は、前年比10%以上増加している。これは、積水ハウスなどのプレハブ住宅の耐震性能がいいということが改めて評価され、震災地の東北だけでなく、周辺の関東地区も受注増につながっているように思う。

プレハブ住宅 積水ハウスは、阪神淡路大震災の時、地震に強いことが実証され、注目を浴びて大幅な受注増に結び付いた。しかし、この震災特需も1~2年で終わった。さらに今回の受注は、大都会で集中的に起きたものでないため、大きな需要は見込めないだろう。
 大局的に日本の住宅着工数は、今年(2011年)、来年(12年)は、微増の80万戸~90万戸ぐらいだろう。そのような状況下で、積水ハウスは生き残りをかけて、新たな手を模索している。その答えが海外事業への展開だと思われる。

 しかし、すでに2年前からオーストラリアに進出しているが、実質的な成果はあがってないようで、いまだ具体的数字の発表もない。短兵急に結果を求めるわけではないが、海外事業を展開すると市場に発表すれば、市場に送るメッセージとしてはインパクトを与える材料となる。ただし、住宅販売は、その国の文化、風土、歴史、伝統に裏打ちされた「住まい」をよく理解しなければ、成功はおぼつかないだろう。

 歴史が浅く、走る機能だけあればよい自動車ならば、大、小、高い、安いはあっても、住宅のように、個々の住まい方、歴史、伝統で独自性のものにはならない。オーストラリアはオーストラリア流の家、中国は中国流の家が提供されねば販売に結び付かないのではなかろうか。
 積水ハウスは、三十数年前、当時の西ドイツに進出し、セキスイハウスの主力商品を輸出し販売しようとしたが、ドイツの人々の住まいの伝統、建築法規、土地利用に関する法律、景観に対する法律などで、まったく通用しなかった。その結果、ドイツ風のセキスイハウスを販売せざるを得なかったという苦い経験をしているのである。

(つづく)
【野口 孫子】
※積水ハウスを中傷するものではありません。
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