都築学園グループの総資産が大きく減少している。同学園は巨大な資産規模を誇ってきたが、前回まで見てきたように単年度の収支が年々悪化している状況では、その巨額資産も目減りしていくことは明らかだ。すでに都築俊英学園のように総資産が大幅な債務超過となっている法人もある。今回は登記簿上の総資産の推移を見てみよう。
<収支のマイナスが総資産を食いつぶす>
別表の都築学園グループの総資産推移を参照していただきたい。登記簿上の総資産を年度ごとにまとめたものである。一部、数値が不明な部分は、前年と同じ数値を入れるなど推定値としたが、それでも全体の傾向は読み取れるはずだ。
2007年3月のグループ総資産合計は1,929億円と2,000億円に迫る水準だった。この時点では、その後合併で解散することになる都築インターナショナル学園、姫路学院、都築関東学園も含まれている。これが08年3月では1,742億円と1割程度減少している。都築学園、都築育英学園、都築教育学園の現在の主要3法人の総資産が、対前年比で大きく減少したことが大きい。
09年3月には1,675億円とさらに資産規模が縮小、09年1月には都築インターナショナル学園と姫路学院が、都築学園に合併されている。このため都築学園の総資産は830億円と大幅に増加した。合併された両法人の総資産が、ほぼそのまま上乗せされた格好だ。
10年3月にはさらに大きく縮小し、グループ総資産は1,111億円となった。09年5月に都築関東学園が都築俊英学園に合併されているのだが、気になるのは突然、都築俊英学園が大幅な債務超過に陥ったことだ。同法人の09年3月の総資産は142億円余り、それが10年3月では▲233億円の債務超過である。普通に考えれば、その期間中に合併された都築関東学園が大幅な債務超過だったとしか思えない。
都築関東学園の09年3月の総資産は不明であり、別表では便宜上、08年3月の数値を当てはめている。ここに大きなマイナスが隠れていると思われるが、それにしても極端な減少である。判明している都築関東学園の08年の総資産は166億円であり、それが09年に142億円の総資産を持つ都築俊英学園と合併したことで、▲233億円の債務超過になるというのは理解しがたい。合算して300億円を超える総資産が、一転して▲233億円の債務超過になるということは、その間で500億円以上のマイナスが発生したことになる。都築関東学園の09年の数値が不明とはいえ、それを挟んで巨額のマイナスに転じたことには不透明な印象が残る。
*記事へのご意見はこちら