15日の追い山まで山笠シーズン中ということもあり、中洲は法被姿の「のぼせもん」の姿が多い。飲み屋の子が多く行き交う中洲大通にたくましい尻をさらけ出した男たちの姿。たまに見とれている女性の姿も...。
あるキャバクラ嬢は男性の尻フェチで、山笠のために博多区へ引っ越してきたという。山笠は、というより男尻見物は1年で最大の楽しみ。早朝行なわれる「追い山」は仕事明けから寝ずに見物へ行く。「子どもの頃にテレビで見て、ずっと憧れていました。たくさんの男の人のお尻に囲まれてみたい!」という筋金入りだ。実話である。
テレビでは「山笠の終わりとともに博多の夏が始まります」なんていうフレーズをよく耳にする。もっとも、猛暑から逃げるように店にかけ込み、「とりあえず生!」と悲鳴をあげるのが日常化しているのだが...。そのようななかの客への配慮で、毎夏、客に扇子やうちわを配る店は珍しくない。ところが、今年は異常事態が発生しているようだ。
「今年はうちわが手に入らない」と、あるママは愚痴をこぼす。「節電」ブームの影響か、各業界で客に扇子やうちわを配る量が増えているというのだ。企業関係に比べたら、中洲の飲食店などは小口の取引先。在庫不足のしわ寄せが来ているということである。そういえば最近、家電量販店で扇風機が売り切れになっているという話を聞いた。一体、今年の夏はどうなってしまうのか?
【長丘 萬月】
長丘 萬月(ながおか まんげつ)
1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。
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