さまざまな不祥事から体質改善を図ってきた都築学園グループだが、まだまだ信用回復までには至っていないようだ。前総長時代のワンマン・金満体質は薄まったものの、情報公開面などにおいて閉鎖性を感じさせるのは、未だ過去の悪弊との決別が道半ばであることの証左ではないか。最後の経営面の課題を検証する。
<自ら招いた禍で揺らぐ存立基盤>
大学の進学率は大幅に高まったものの、少子化による絶対的な18歳人口の減少は、大学の学校経営を直撃している。第一薬科大学を最大の収益源としていた同学園グループも例外ではない。定員の大幅オーバーにより収入を確保していた同学園も、今では定員割れによる収入不足に悩まされる状況だ。
過去に蓄積した豊富な資金量を背景に、老舗百貨店・岩田屋の不動産買収など、福岡の経済界に話題を提供したこともあったが、結果的に学校法人としては異例の巨額の借入金を抱えることになった。本来、学校法人の目的は営利追求ではなく、有能な人材の輩出や研究成果の発表による社会貢献にある。こうした公共性があるため、さまざまな補助金も認められている。
同学園グループの歴史を振り返ると、崇高な創設者の理念に沿い礎を築いたが、規模の拡大とともに学校法人としての基本理念から逸脱していった印象を受ける。水増し入学や天神一等地の不動産買収に、創設当時の理念を見出すことはできない。また数多くの不祥事は、あきらかに教育機関としての適性に欠けるものであり、それが現在の学生離れに繋がっている側面もあるだろう。
少子化という大きな波は、どの学校法人にとっても厳しいものだ。学生確保のために苦心惨憺しているのが学校法人の実情である。環境の変化に対応できなければ淘汰の憂き目にあうのは、民間企業にとって当たり前のこと。それが学校法人だから例外であってはならない。社会的に必要とされる適者生存が資本主義の根本原理だ。同学園は一時代を築いたが、その役割も今では大きく変化している。体質的にも経営内容的に多くの課題を抱える同学園に、昔ほどの存在価値を認めることはできない。栄華を誇った巨大学園も、自ら招いた禍から存立基盤が揺らいでおり、徐々に時代の波に飲み込まれつつあるようだ。
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