高知県梼原(ゆすはら)町は同県北西部で愛媛県との境にある山間の町。同町は「自然」という資源を活かして、風力発電、太陽光発電、木質バイオマス、小水力発電などに積極的に取り組んでおり、自然エネルギー利用の具体例として注目されている。NET-IBは、現地を取材した。
梼原町は、人口3,848人(6月初)、町面積のうち91%が森林で清流四万十川と日本3大カルストのひとつ四国カルストをもつ自然豊かな町だ。
同町の本格的な自然エネルギーへの取り組みは前町長・中越武義氏の時代にはじまった。中越氏は1962年、同町役場に入庁し助役を2期務めた後、97年12月から2009年12月まで3期12年間、同町長を務めた。この間、中越氏は、四国カルスト高原の山頂の風車による風力発電、公共施設・住宅の太陽光発電、建築用木材の切れ端や間伐材を活用した木質バイオマス地域循環モデルプロジェクト、四万十川を活用した小水力発電、地熱エネルギー利用、低炭素住宅の推進などの自然エネルギーの活用に取り組んだ。その環境モデルタウンとしての取り組みは各種表彰も受け、メディアにも取り上げられ全国的に注目されている。
その取組の背景には、中越氏の町政運営への工夫があった。中越氏は同町の基本計画策定に当たり、公募して集まった町民12人に参画してもらい町民の意見を反映させた。その結果、出てきたもののひとつが自然エネルギーへの取り組みであり、その後、町全体で自分達のことは自分たちで考えるという雰囲気が高まったという。
梼原町の自然エネルギーへの取り組みは、原発の是非をめぐる問題が毎日のニュースを賑わせているなか、脱原発社会のかたちを教えてくれる。
【吉澤 英朗】
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