中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
中国で連日、橋が壊れている。7月15日、中国浙江省杭州市の銭江三橋が崩落したと中国メディア各紙が報じた。前日の14日には、福建省武夷山で橋の崩落事故があったばかり。この事故では観光バスが犠牲となり、1人死亡、22人が重軽傷を負っている。一方、15日に発生した中国浙江省杭州市での橋の崩落事故はトラックが橋から落下し、粉々になったものの運転手は運良く飛び出して、軽傷だったようだ。この落下したトラックは最大積載量32トンにもかかわらず、100トンもの鉄骨を積んでいたという。
中国で橋の崩落事故発生には、積載過重のトラックが関係していることが多い。現に武夷山の事故では観光バスの直前に大型トレーラーが橋を渡ったため崩落したといわている。今年(2011年)5月、吉林省長春市で発生した橋の崩落現場でもトラックがスッポリと穴のなかに落ちていた。道路の管理者や橋の施工業者は、常に過積載のトラックを問題としてきたが、これだけ橋の崩落事故が多発すると、手抜き工事を指摘する声もあがっている。
崩落したどの橋も開通して10年そこそこ、設計では100年。「設計か施工かトラックか」何が原因か調査中のようだが、中国の橋にはこのような「豆腐橋」といわれる危ない橋が他にもあるという。中国の橋を渡るなら「トラックの後ろは避けて、中央分離帯に近い車線」のほうが安全度は高いようだ。
さて、さすがに連日の橋の崩落事故報道で、青島では開通したばかりの「おらが街の世界一の橋は安全か?」と論議を呼んでいる。中国共産党結党90周年記念式典の前日の6月30日に開通したばかりの世界一の海上大橋、青島海湾大橋(青島膠州湾大橋)では開通後ガードレールの一部が未完成のままだったことが判明、むりやり記念式典に間に合わせた開通だったらしい。
【杉本 尚丈】
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