中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
中国でまた、大事故が起きた。
7月22日、中国山東省の威海市から湖南省の長沙市に向かう長距離バスが河南省の信陽付近で突然炎上、乗客41人が死亡し、6人が重軽傷を負うという事故が発生した。バスは全焼、死体の識別もできないありさまだという。原因は不明のようだ。
翌7月23日、今度は北京-福州間の高速鉄道、浙江省温州市付近で列車の追突事故が発生、24日現在、死者35人、負傷者は190人を越えるという。
この事故は、浙江省杭州から福建省福州に向かっていた列車が何らかの理由で停車したところに、北京発で福州行きの列車が追突。追突した列車の車両4両が約20メートルの高架橋から落下した。日本でも大きく報道されたこの事故、中国鉄道部の発表によれば、「落雷による設備故障が原因だった」との見解を示し、詳細は調査中としている。
追突した車両、「和諧(わかい)号」は川崎重工の技術供与により中国南車集団青島工場で製造されたものだが、開通時には川崎重工の名前は一切出ず、中国製車両として発表された新型車両であることが判明した。
こうしたなか、さらに驚くべき事実が報道された。事故発生後24時間もたたないうちに高架下では、たくさんの重機が投入され、落下した車両の移動、解体が始まっていたのだ。当局の発表によれば、「運行再開に向けて高架上の車両を下に降ろすために、大型クレーンの足場を確保するため」としているが、「現場検証も終わってないうちにこれだけの重機が投入されるのはいかにも不自然だ。証拠隠滅ではないか。」とネット上で話題になっている。たしかに、写真でみる限りでは、重機で穴を掘り、車両を解体し、穴のなかに車両を埋めているように見える。
追突した「和諧(わかい)号」の先頭車両4両が高架下に落下したはずだが、日本の新幹線によく似た先頭車両の姿が見えない。事故で粉々になってしまったのか、すでに解体されてしまったのか。中国政府は徹底した原因究明をはかるとしているが、現場では素早く撤去し、運行再開を優先しているようだ。
【杉本 尚丈】
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