都築学園グループの知名度は高い。「イチケイ」の愛称で親しまれた第一経済大学(現日本経済大学)は「CHAGE and ASKA」などのミュージシャンを輩出し、福岡第一高校は、かつて夏の甲子園で準優勝、また演歌歌手の氷川きよしの出身校として知られている。同学園は、こうした才能を世に送り出した学校として華やかな知名度を誇る一方、不名誉なことに不祥事の面でもよく知られた学校法人である。
<不祥事の多さからモラル欠如との批判>
1991年には太宰府市の第一経済大学(現日本経済大学)が定員の12倍に当たる5,900人余りを入学させていたことが判明。水増し入学として話題となったが、この背景には学校法人特有の補助金の問題がある。都築学園は国への補助金申請を行わずに拡大してきた学校だ。定員の1.3倍以上の入学者を認めると国の私学助成金が受け取れないという縛りがあるため、通常は入学者をその範囲内に留めるのだが、同学園は私学助成金を受け取らない代わりに、定員を大幅に上回る入学者を集める策をとった。これが定員の12倍に当たる水増し入学へ繋がったことは明らかだ。しかも当初は、定員の6倍である3,015人が入学と虚偽の発表をしていたことも発覚、教育機関としての姿勢を厳しく問われることになった。
さらに2001年9月には都築学園グループの都築育英学園や都築俊英学園が、学校法人としての法人所得の申告漏れを国税当局から指摘されていたことが判明。マスコミ報道で再び大きな注目を集めた。追徴総額は悪質な所得隠しと判断された分を含めて2億数千万円に上ったとされる。この他、都築理事長夫妻も法人からの退職金について、退職金ではなく個人所得とみなされ、同じく追徴課税されている。そして07年11月には当時の理事長である都築泰壽氏が強制わいせつ罪で逮捕されるという前代未聞の事件が発生。06年10月に自身が学長を務める大学の校内で、女性職員にわいせつな行為を行なったことを理由に告訴され、同氏が日常的にわいせつ行為やセクハラを行なっていたことが明るみになり周囲を唖然とさせた。教育機関の著しいモラル欠如は、都築学園の信用を大きく失墜させる結果となっている。
07年11月に三井住友銀行から所有不動産に対して50億円の根抵当権が設定されているが、これは同月、当時の理事長である都築泰壽氏が逮捕されたことを受けて、その後の資金繰りの悪化を懸念したためのものだろう。
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