第2次ベビーブームと言われた1970年代前半、200万人を超えた日本の出生数は、その後は右肩下がりの状態へと陥り少子化時代へと突入した。人口動態は学校法人に大きな影響を与える。18歳人口は、第2次ベビーブーム世代の1990年前後には200万人いたが、現在では120万人まで減少している。バブル経済が崩壊したのが1990年であり、学校法人は景気低迷と少子化のダブルパンチを受けた。都築学園も例外ではない。
<財務状況を企業決算に当てはめてみると>
まず今回の取材で決算内容が判明した、都築学園グループの学校法人ごとの財務状況を見てみる。判明したのはグループの中核である都築学園、都築育英学園、都築教育学園の3法人。都築俊英学園の決算内容は不明だが、資産総額が10年3月末で▲233億8,570万円の債務超過となっていることが判明している。
学校法人の場合、一般の企業と異なる学校法人会計が使用されるため、企業会計に当てはめる形で決算分析を行なってみる。3法人の収支計算書は別途作表したので、そちらを参考にしていただきたい。
企業の年間の売上高に該当する金額には、帰属収入(授業料・入学金、補助金など)を当てはめ、利益に該当する金額は、この帰属収入から消費支出(人件費、教育研究費など)を差し引いた帰属収支差額を当てはめた。つまり帰属収入(売上高)-消費支出(経費)=帰属収支差額(利益)である。
この計算によれば、都築学園の10年3月期の売上高は119億5,143万円で、利益は▲36億8,510万円。都築教育学園は売上高29億5,329万円、利益▲11億4,738万円、都築育英学園が売上高77億6,344万円、利益28億5,377万円となる。また利益剰余金に該当する翌年度繰越消費収入(支出)超過額は、都築学園が▲29億6,820万円、都築教育学園が▲58億444万円、都築育英学園が▲98億3,556万円となる。これらは一般企業会計と異なり、基本金への組入額により大きく左右されるため、そのまま累積損失と捉えることはできないが、ひとつの事業収支の目安としては捉えることができるだろう
この3法人を合算すると、10年3月期の売上高が226億6,817万円、利益が▲19億7,872万円となる。グループ全体36校のうち、この3法人で25校、債務超過の都築俊英学園が7校を運営している。4法人で32校と全体の約9割を運営していることを考えれば、都築学園グループ全体の収支が厳しくなっているとの見方が成り立つだろう。
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