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巨大学園の実像を追う 都築学園グループ(7)
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2011年7月21日 11:56

 収入の大半を占める学生生徒等納付金(以下、納付金)の減少は、学校経営を直撃する。都築学園の最大の収益源であった第一薬科大学の納付金が急激に落ち込み、新たに加わった近畿医療福祉大学、日本薬科大学の納付金で補う格好になっていることは前回述べた通りである。今回はさらに細かく、都築学園の学校ごとの業績を見てみよう。業績推移は前回(6)の表を参照していただきたい。

<稼ぎ頭の大学運営が最大の不採算事業へ>

都築学園グループ 納付金の減少を学校別に見ると、とくに大学において減少が顕著になっていることがわかる。これは都築学園グループに限ったことではなく、全国的な傾向だ。18歳人口の減少に加え、規制緩和による大学数の急増が大きく影響している。大学進学率は90年代前半には25%程度で、09年には50%と率にして倍増しているが、絶対的な人口の減少から進学者数は率ほど増えていない。ここ20年の大学進学の推移を大雑把に言うと、200万人の18歳人口の25%(約50万人)が進学していたものが、120万人の18歳人口の50%(約60万人)が進学する時代へ変化している。進学率にすれば倍増だが、実数では10万人程度しか増えていない。これに対して大学の学校数は約520校だったものが約770校まで増加しており、3割増しの状況だ。学校によって定員数が異なるため、定員が3割増しになったわけではないが、供給過多の状況に陥っていることは間違いない。これが定員割れの大学が続出している要因である。定員数が多い有名大学は、推薦入試を増やすなど対策を講じた。この煽りを受けたのが定員数の少ない大学で、定員数が少ない大学ほど定員割れが多いという現在の状況が生まれている。

 都築学園グループの大学も定員割れの状況に陥っており、2010年で在籍数が定員数を上回っているのは、7校のうち日本経済大学の1校のみだ。この状況を踏まえれば、従来からあった大学の納付金の減少を、新たに加わった大学の納付金で補てんするやり方は、一時しのぎにしかなり得ず、なんら根本的な解決にはならないことがわかる。表面的には納付金が増えても、採算がとれているかどうかは別問題だからだ。
 別表を見れば分かるように、都築学園の納付金を底上げする役割を果たした近畿医療福祉大学、日本薬科大学とも2010年3月期の収支はマイナスである。第一薬科大学は、かろうじて収支がプラスだが、近年の落ち込みを見れば今後プラスを維持できるとは思えない。さらに定員を唯一維持している日本経済大学も収支はマイナスだ。学校法人にとって稼ぎ頭だった大学運営が、今では最大の不採算事業に成り下がっているのだ。

都築学園グループ 各大学の2010年収支

(つづく)

≪ (6) | (8) ≫

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