大学の学生生徒等納付金(以下、納付金)の落ち込みは激しい。都築学園グループも大学7校のうち2010年で定員割れしていない大学はわずか1校しかない。さらに定員を確保しているから利益が確保できているわけでもなく、10年3月期で利益が確保できている大学も1校しかない。従来、最大の収益源だった大学に依存できない状況だが、高校や専門学校はどうだろうか。学校法人ごとに収益構造の全体像を見てみよう。
<豊富な資金力はすでに過去のものに>
都築学園の稼ぎ頭だった第一薬科大学の納付金が大きく落ち込み、それを新たに加わった近畿医療福祉大学と日本薬科大学の納付金で補う形になっていることは前回までに述べた通りである。今回はさらに細かくほかの学校まで見てみる。
同学園の出発点である福岡第一高校。第一薬科大学とともに、同学園の最初の基盤となった学校である。だが同校も納付金を始めとする帰属収入(売上高)は近年、大きく落ち込んでいる。同校の08年3月期の帰属収入は約30億円、それが09年3月期では約14億円となり、10年3月期では約13億円となっている。08年の金額が大きいのは資産売却に伴う収入が15億円余り計上されているためだ。これを差し引くと08年の帰属収入は15億円程度となり、年々収入が落ち込んでいることがわかる。同校の収入は納付金と補助金5億円程度で構成されているが、その納付金も1割程度ずつ減少している。収支も09年、10年はマイナスである。同じく高校の第一薬科大学付属高校は、納付金はほぼ横ばいで推移しているものの、収支は恒常的にマイナスの状況だ。
次いで幼稚園部門。みやこ幼稚園の納付金は微減だが収支はプラス、せふり幼稚園の納付金は減少傾向で収支も連続でマイナスの状況である。専門学校については、学校による差異が大きく収支についてはプラスもあればマイナスもあるが、納付金はほとんどが減少傾向となっている。
都築学園の全体的な傾向を整理してみると、ほとんどの学校で納付金が減少していること、収支が悪化してきている学校が多いこと、とくに規模が大きい大学においてマイナス幅が大きくなっていること、などが浮かび上がってくる。財務内容が判明した都築学園14校のうち9校で10年の収支がマイナスとなっており、この傾向は都築教育学園、都築育英学園などの学校法人にも言えることだ。定員の大幅オーバー受け入れという荒業で豊富な資金力を誇った都築学園グループも、その資金力が衰えてきたことがわかる。
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