「まさか、ここまでとは!」と、思う内容であった。6月30日にリニューアルオープン(改装工事中は、別テナントで営業)した藤堂和子ママが経営する高級クラブの名店「ロイヤルボックス」を訪れた。オープン祝いに贈られた花がわんさかとありすぎたため、全容を見ることは難しかったが、すぐに以前との違いに気づいたのは、新たに設けられたオープンテラスである。
今回の大改装には、さまざまな意図が込められていた。オープンテラスを含めて、以前までどちらかと言えば重厚な雰囲気だった店内は、藤堂ママ曰く「ヨーロッパ風」となっている。「以前は、若い女の子にとって敷居を高く感じさせる内装だったから」というのが雰囲気を変えた理由。また、最近増えている、外国人のお客さん向けに和風、韓国風の内装、日本庭園なども盛り込んだ。
中洲の店で、内装を少しいじったり、模様替えをしたりすることは度々あっても、テナントを一旦スケルトンにして、ゼロから作り直すような大改装は珍しい。「ロイヤルボックス」自体も今回が初だという。それもバブリーな時代に行なったわけではない。冒頭のような印象を抱く常連、同業の方々は多いだろう。
改装前の営業は3月11日まで。その日はご存知の通り、東日本大震災が発生した日である。藤堂ママの店は、県外からもたくさんの客が来るため、被災地に常連さんが多い。藤堂ママは震災後、宮城県名取市を訪れた。山積みになった支援物資を目にし、心を痛めた。役人を捕まえて問い質しても「配る手段がない」というからだ。
一方、被災者との対話のなかで、どんな被害に遭っても古里を見捨てない地元への愛着に心を打たれた。藤堂ママも中洲への想いは人一倍強い。
先代の兄から「ロイヤルボックス」の経営を委ねられたのは18年前。「気づけば17年やっていた兄よりも長くやっているわね」という藤堂ママは、「バトンタッチして追い越した記念」と、同店の35周年に合わせて改装を決めたという。奇しくもそれが大震災と重なったが、今後は「東北の被災地へ、西の福岡から元気を送りたい」と、決意を語っている。
スタッフ一丸となって、新たなスタートを切った「ロイヤルボックス」。リニューアルオープン初日は、レセプションとして招待客が中心であったが、生まれ変わった姿を早く目にしようと、常連さんがひっきりなしに来店していた。
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