<ローコストオペレーションで注目されたが・・・>
7月1日、取引業者らによる商品回収騒動が起きていた食品バラエティストア「チマキング」。同店を運営する(有)くるめチマキヤ(本社:久留米市善導寺町島1040‐3、宮崎貴史代表)が同日付で自主再建を断念していたことがわかった。
今後は、担当弁護士らが、会社の財産や債務の状況を把握し、いかなる手続きで整理を図るかを決定後、法的手続きの方向性を決めるという。
翌2日は、一部店舗で朝から営業を行なっており、取材した基山店では、駐車場待ちの車もあるほどの賑わいで、一般食品および菓子などがほとんどない状態にも関わらず、一台のレジに10名近く並ぶほどの行列ができていた。
チマキングは、規格外野菜や消費期限スレスレの食品などを激安価格で販売するスーパーとして知られ、テレビ番組および雑誌などでも取り扱われる機会が多かった。また、口コミ、ブログやツイッター、個人サイトなどでも紹介され、瞬く間に知名度が上昇。一時期は、開店前から行列ができ、午前中のうちに規格外野菜が完売するほどの人気だった。
少人数による徹底したローコストオペレーションにより利益を生み出すシステムは業界のなかでも注目され、1号店となる北九州市の永犬丸店を皮切りに2009年頃から積極展開をスタート。佐賀県に基山店、福岡県では、福岡市に月隈店、桜坂店、大野城市に南ヶ丘店を開店。10年11月に熊本県で玉名店、今年に入り、福岡県で、田川郡に香春店、飯塚市に陣原店を出店。8店舗運営で、10年12月期の売上高は23億3,015万円を計上していた。近く北九州市に2号店を出店するという計画があることもささやかれ、景気が低迷するなか、その積極出店が話題となっていた。
<出入国管理法違反で社長が有罪判決>
10年10月18日、同社の宮崎貴吏社長ほか3名がIT技術者名目でカンボジア人3名を来日させ、本社作業場で働かせていたとする出入国管理法違反(不法就労助長)で福岡県警に逮捕された。宮崎社長自身は執行猶予付きの有罪判決を受けた。
宮崎社長は、同年末に現場復帰を果たし、陣頭指揮を執っていたものの、ここ1、2年は、大手および地場のディスカウント店などが近隣に出店。その影響もあって、次第に同社の特色が活かせなくなっていた。これにより既存店舗の売上高は、低下傾向に陥り、資金繰りが悪化したことで、取引先に対する支払いの遅れなどが散発。6月30日の支払いを7月4日にジャンプ要請したことから、取引先の間で信用不安が一気に広まり、商品回収騒動につながっていた。
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