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松本龍復興大臣辞任劇の裏側で進む"地元排除"の宮城県復興計画(前)
政治
2011年7月 6日 11:12
副島国家戦略研究所・中田 安彦

復興担当大臣を辞任した松本龍氏 松本龍・復興担当大臣が、5日辞任した。就任からわずか9日後の辞任。しかも、その原因が「失言」。就任時の記者会見で「チーム・ドラゴン(龍)」といって自分の「省庁横断」の復興チームを呼び、突如サングラスをかけて周囲を驚かせたり、記者団に「なぞなぞ」をかけるなど、非常にユニークな大臣だった。しかし、マスメディアの言う「被災地の気持ちを考えない暴言」が原因でやめることになってしまった。

 環境大臣だった昨年、松本前大臣は、名古屋で開催された国連生物多様性会議(COP10)の議長として、名古屋議定書をまとめ上げる成果をあげた人物でもある。松本氏が辞任した以上、後任の平野達男参議院議員や副大臣に就任した山口壮衆議院議員には、実務的に仕事を進めてほしいと思う。

 岩手県と宮城県での両県知事との会見時に、松本前大臣の「問題発言」は起こった。たしかに、岩手県で達増拓也知事に対する「(私は)九州の人間だから東北の何市がどこの県か分からない」という発言はデリカシーに欠ける。これは批判されても仕方ない。また、仮設住宅について「仮設は本来は県の仕事だ」と言ったうえで、「国は進んだことをやっている。(被災自治体は)そこに追いついてこないといけない」とする発言など、表現が足りない面は否めず、上からの物言いであると評されても、これまた仕方ない。

 しかし、この後に続く「知恵を出したところは助けるが、知恵を出さないやつは助けない。そのくらいの気持ちを持って」という部分は、何か問題があるのだろうか。

 あのジョン・F・ケネディ米大統領もこう言っているではないか。「国が何をしてくれるかよりも、国民が国のために何ができるのかを考えよ」と。松本龍は、復興担当副大臣だった平野達男参議院議員をして「松本さんは親分肌だ!」と言わしめたように、もともとそういう「物言い」をする人物なのである。

 次に、直接の辞任の原因となった、宮城県庁における村井嘉浩知事との会談。この模様は、TBS系の地元テレビ局が取材・録画していた。発言を数分間にまとめた映像素材が日曜夜のスポット・ニュースで放送され、インターネットを中心に波紋が広がり、火曜朝に辞任となった。(動画:http://www.youtube.com/watch?v=VtUqWdbjnTk

 その問題となった発言を「共同通信」のまとめで確認する。

【宮城県】
 ・政府に甘えるところは甘えていい。こっちも突き放すところは突き放す。そのくらいの覚悟でやっていこう。
 ・漁港を集約するのは、県で意見集約をちゃんとやれ。しっかりやれよ。やらなかったらこっちも何もしない。知らんぞ。
 ・(応接室で待たされたことについて)お客さんが来るときは、自分が入ってから呼べ。自衛隊上がりで、あんたは分かっているだろうけど。言われなくてもしっかりやれよ。はい、今の部分はオフレコです。書いた社はこれで終わりだから。
(共同通信)

 カメラが入っている場所で、このようなキツイ物言いをするというのは、松本前大臣も考えが足りなかったとは筆者も思う。だが、ビジネスなどで、重大な案件を相手と話し合う場合、このくらいの怒鳴り声になるのは普通のことだろう。しかも、当初は報道されず、辞任となった6日朝の「産経新聞」が初めて報じているのだが、松本前大臣と村井知事は「旧知の間柄」だったという。

 要するにもともと2人には面識があり、この会談が初めての出会いではなかったことになる。「親しき仲にも礼儀あり」などという言葉もあるし、2人がどれだけの関係の深い間柄かは分からない。しかし、面識があるのとないのとでは、松本前大臣の発言が持つニュアンスがまったく変わってくる。
 
 テレビでのニュース映像を見た人は、まるで「やくざ者が善良で頑張っている知事を一方的に恫喝している」ように感じただろう。筆者も当初はそのように感じていた。しかし、松本前大臣が怒っている理由をよく見ていくと、なぜ村井知事が叱責されているのかが分かる。松本前大臣は、「漁港を集約するのは、県で意見集約をちゃんとやれ。しっかりやれよ」と言っている。これは、宮城県が独自に進める「水産業復興特区」のことである。宮城県は岩手県とは異なり、漁業ビジネスの民間企業への開放をテコに復興をはかろうとしていることはすでにメディアで報道されていた。

(つづく)

<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。


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