東日本大震災の被災地支援として、業務用炊飯器など食品プラント開発メーカーのパーキテック(株)(本社:広島市東区、吉田哲夫社長)が中心となって推進する「女川町厨房プロジェクト」。吉田社長によると、同プロジェクトは7月18日の海の日に女川町避難所の800人に向けて完全給食を開始するという。初日のメニューは、白飯、肉じゃが、酢の物に冷凍みかんの予定で、久しぶりの家庭の味に、避難所の期待も高い。
東日本大震災直後、吉田社長は、サウジアラビアに輸出予定で在庫中の同社製「IH万能調理器(一度に200人分の炊飯や調理が出来る)」の被災地活用を発意し、4月上旬、新聞記事で宮城県栄養士会が避難所の食事の改善に立ち上がったことを受けて、早速同栄養士会の石川支部長にコンタクト。支部長から避難所給食改善の差し迫った問題点を具体的に知らされた。さらに石川支部長は吉田社長に、宮城県保健福祉部の宮城技術主管(管理栄養士)を紹介。吉田社長は同主管から、「どこも支援が必要だけれど、支援が届きにくくなっている女川」と、孤立して交通インフラが破壊され陸の孤島と化していた女川町避難所を推挙されたのが、最初の支援先に女川町が選ばれた経緯だという。
女川町厨房プロジェクトの特長は、津波で店舗を失った女川麺飯飲食組合(木村正樹組合長)のメンバーに町が給食業務を委嘱すること。組合員は町の提案に、勇躍立ち上がった。組合員の思いは熱く、「女川は漁業の町。漁業の復興のためにも、給食では魚料理を食べてもらいたい」旨の要望があり、吉田社長は魚焼器も調達することに。要望はそれだけに留まらず、食器洗浄機から冷凍冷蔵庫、冷蔵コンテナにおよび、ついには完全給食設備へと発展していった。町でも7月11日から健康福祉課に対応職員(被災者)を新規採用するなど、プロジェクトを全面支援している。18日には給食調理が開始される予定で、新しい被災地支援のあり方として注目を集めている。
吉田社長は「本プロジェクトは、当初は、パーキテック社製万能調理器の活用によるお手伝いのつもりが、現地の皆さんとの打合せのなかで、食の改善への取り組みを通じて『地域復活』にかける飲食組合の皆さんの心意気にうたれ、計画は本格厨房の建設へと発展していった。広島市長、広島市議会前副議長佐々木議員のご賛同により、広島市教育委員会、広島市社会福祉協議会ほかのご協力を得て、茶碗や皿など、避難住宅で必要な備品も調達できたことは大変に嬉しかった」と話す。
避難所の食事の改善のみならず、新たな雇用を生み出し被災地域産業の復興にも貢献する同プロジェクトが震災復興への好事例となることが期待される。
[COMPANY INFORMATION]
パーキテック(株)
代 表:吉田 哲夫
所在地:広島市東区戸坂千足2-10-17
TEL:082-567-2211
FAX:082-567-2200
http://www.parchitec.co.jp
【吉澤 英朗】
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