<急速に伸びる中国の消費力>
2010年中国の消費品小売総額は15兆4554億元(前年比18.4%増)で、4年前の06年に比較して約2倍に拡大している。これを地域別でみると、広東省がトップで、続いて山東省、この2省で全体の約2割を占めている。消費力の高い広東省、山東省へは数多くの日系食品メーカーが進出しているが、その進出目的には大きな違いがあるようだ。山東省の日系企業は、日本に近いこともあり日本への輸出を目的として進出した企業が多い。日本の消費が伸び悩むなか、中国国内のインフレにより原価が高騰しており、経営的には厳しい舵取りとなっている。
一方、広東省に進出した企業は「最初から中国国内への販売を目的」として進出した企業が多い。そのため広東省へ進出した日系企業は、中国国内に向けた販路を有しており、中国の消費力拡大とともに業績を伸ばしているようだ。
<拡大する中国市場にどのように参入するか>
(1)日本からの輸出
現在中国では、日本食品の輸入制限が実施されており、日本食品の潜在需要はあるものの日本から輸出はできない。
(2)現地委託生産
委託先の製造ライン、販路を利用した現地製造方式。原材料の調達やライセンス契約など事前の準備を十分に行なうことが重要である。
(3)現地独自生産
独自の製造ライン、販路を有する企業、現地企業との合弁など。食品安全法など厳しくなる法制面に注意が必要であろう。
<進出企業に朗報、南海日本中小企業工業園区>
ジェトロ広州事務所では、日本の中小企業が中国に進出しやすくするため、中国地方政府と交渉し日本企業向けの工業園区(工業団地)を設立した。広州から車で1時間以内で行ける「南海工業園区」では、最低資本金設定の廃止、工場建屋のレンタルや日本語サービスが受けられる、いわゆる「工場の日本人街」だ。
詳しくは、ジェトロ広州事務所(TEL:86-20-8752-0060)、もしくは管理会社日本窓口、日本K&K貿易㈱(TEL:東京03-5825-8601)まで。
【杉本 尚丈】
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