14日、九州大学病院は、11日午後、検査・療養のため同病院に入院した松本龍前復興相の病状について、軽度の躁(そう)状態と発表した。記者会見を至った経緯について、久保千春病院長は、松本氏の事務所、家族に各方面から問い合せが多く寄せられたため、家族の要請により会見を行なったと説明した。
病状説明を行なった主治医団の神庭重信教授によると、本人および家族の観察では、6月初めぐらいから、松本氏は不眠、疲労感および高揚感を自覚していたという。また、普段とは異なる口調になることが家族に観察されていた。十分に睡眠が取れないことで時々、催眠薬などを服用したこともあったという。こうした本人および家族の話などから、病院側は、「震災対策に伴う心身疲労によるもの」と推測している。
松本氏の発言問題について、松本氏をよく知る人たちは「まるで別人のよう」との感想が多かった。なお、病院側はNET-IBの質問に対し、東日本大震災発生以前に松本氏に上記のような異状はなかったと回答した。
しかしながら、はたして震災対策だけが松本氏の精神疾患の原因なのだろうか。国会関係者からは「松本氏は、官邸で頻繁に繰り広げられる首相、閣僚のケンカを仲裁していた」との話もある。一方で、菅政権が不信任決議案で揺れた際、菅首相に早期退陣を求める発言を松本氏が行なった時点で「様子がおかしい」と、首をかしげた関係者も多い。被災地復興にはやる気持ちも、被災地そっちのけで連日繰り広げられた政争に遮られた。「民主も自民も公明も嫌い」という言葉が、すべてを物語っているような気がする。
神庭教授によると、気分障害は、内分泌疾患、脳出血、脳梗塞、脳腫瘍といった病気によって起こることもあり、その可能性を否定するため、松本氏への各種検査を行なっていくという。入院期間は今のところ未定だが、一般的には、気分障害は『寛快』(※1)するとのこと。
【山下 康太】
※1 寛快 : 病気の症状が継続して見られない状態。再発性のある病気などに用いられる。
松本龍氏は震災対策を行なうにあたって、心身ともに消耗し、不眠、生体リズムの失調などが重なり、気分障害が誘発された。気分障害は気分のバランスをとる機能が損なわれ、うつ状態、あるいはその逆のそう状態になる障害で、松本氏の場合は過度の覚醒状態から、気分の高揚状態、そして軽度の躁(そう)状態だったと思われます。ご本人もその精神的変化を自覚し、入院治療について了解され、決意されるに至っております。
軽度の躁状態では、気分高揚に伴い、本人の本意とは違うことをつい口走ってしまうこと、普段なら決してしない行動をとってしまうことが多いのです。マスコミ等で報道された松本氏の報道のいくつかは、こうした精神状態と関連するものと判断されます。入院時は不眠、疲労感、気分高揚感などを主症状とした軽度の躁状態が認められましたが、現在は、それらの状態は軽快傾向にございます。以上です。
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