早いもので、3月11日の東日本大震災発生からすでに4カ月以上が経過した。被災地はいまだ大量のガレキやヘドロの山に圧倒されている。こうした厳しい状況を乗り越えるためには、国民が一致団結して復興に取り組む覚悟と行動が必要とされることは論をまたない。
復興の障害となっている課題のひとつが、2,600万トンともいわれる災害廃棄物の存在である。仮置き場への搬入作業が続いているものの、いまだ全体の35%ほどしか撤去が進んでいない。岩手、宮城、福島の3県から出た大量のガレキの処理が進まなければ、復興計画そのものが絵に描いたモチで終わってしまう。
たとえ仮置き場にすべてのガレキが搬入されたとしても、それをどのようなかたちで二次処理するのかが頭の痛いところである。焼却処分を行なうにしても施設の整備がままならず、各県とも「3年以内に最終処分を達成したい」と目標を掲げているが、そのための具体的な道筋は曖昧なまま。
出口の見えないこうした状況が続けば、大気、土壌、水源地の汚染問題は広がる一方で、周辺住民の健康被害も深刻さを増すことになりかねない。地元の自治体や産廃処理業者の力だけでは対応するにも限界があり、技術的、人的、財政的な観点からも容易ならざる事態が続いている。
7月4日の時点で、岩手県の場合は、推定されるガレキの52%にあたる231万トンの搬入が進んだ。宮城県では推定1,524万トンのうち、30%に相当する465万トンが仮置き場へ移動された。厳しい環境のもと、着実にガレキの撤去作業は進んでいる。
実は、7月5日、自治体から委託を受けた処理業者がほかの業者への再委託を可能にする政令が閣議決定された。その結果、被災地の自治体がほかの自治体と協定を結べば、国の負担で焼却や埋設作業を広域連携で対応できるようになった。たとえば、北九州市は岩手県釜石市から船舶を使って廃棄物を運ぶことを検討している。こうした自治体間での協力体制が進めば、ガレキの処理も加速するだろう。
しかし、福島第一原発を抱える福島県内における災害廃棄物の処理は、放射能汚染が絡んでいるため前例のない困難がともなっているようだ。実際、推定量228万トンのうち27%にあたる61万トンしか搬入が進んでいないのが現状である。地元企業だけでは十分な対応ができていない点が気にかかる。
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<プロフィール>
浜田 和幸(はまだ かずゆき)
参議院議員。国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鉄、米戦略国際問題研究所、米議会調査局等を経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選を果たした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務政務官に就任。震災復興に尽力している。
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