<合併が意味するもの~大きな試練を迎える北九州市>
新日鉄八幡製鐵所の従業員数3,114人(2011年4月1日現在)、住友金属小倉の従業員数1,136名(11年3月31日時点)であり、両社併せると4,250人。
これに関連会社および下請けの社員および従業員の家族を合わせると数万人単位となり、北九州市最大の雇用をしている北九州市の職員8,581人をはるかに超える企業集団が誕生することになる。
新日本製鉄と住友金属工業との合併は表向き対等合併であるが、上記の表の通り売上高では約3倍、経常利益では6倍強の格差があり、実態的には規模から見て吸収合併となる。住友金属の得意とするシームレス鋼管は別として、重なり合う生産品目は多い。
北九州市には「新日鉄八幡製鐵所」と「住友金属小倉」と2カ所の生産拠点があり、八幡製鉄所と住金小倉の従業員数を比較すると約3倍の格差がある。
合併による効果は生産の効率化によるコスト削減である。現状のまま生産拠点を残すことは考えられない。近代高炉発祥の歴史ある八幡製鉄所の戸畑工場に集約される可能性が高いと思われる。
むしろ問題は集約された後の跡地利用である。今でも八幡地区に広大な遊休地を抱える新日鉄。もし住金小倉を閉鎖するようなことになれば、さらに多くの遊休地を抱え込むことになる。
かつて福岡市と同じように各企業の北九州支店があったが撤退および縮小し、最近は福岡支店管轄の営業所や出張所になっているケースが多くみられる。
最近の円高により、国内工場を閉鎖し海外へ進出するケースが加速している。悪夢であってほしいが、戸畑と小倉の両方の製鉄所が閉鎖されるような事態も起こり得るかもしれない。もしそのようなことになれば、今は棚上げとなっている日銀北九州支店の閉鎖も蒸し返されることも予想される。
【北山 譲】
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