<北九州市再生への提言~カジノ誘致による「都市型複合観光都市」へ>
石原東京都知事や橋下大阪府知事、仲井真沖縄県知事などはカジノ合法化のために動いている。千葉県議会も「成田空港周辺」へのカジノ誘致検討の方針を打ち出している。
最近では、民主、自民、公明、国民新、みんなの各党の議員で組織する超党派議連「国際観光産業振興議員連盟」(会長:古賀一成議員、通称:カジノ議連)が、東京、大阪、沖縄に加え、3月11日の東日本大震災を契機に、「東北復興の財源確保と観光活性化の起爆剤」として、津波に襲われた仙台空港近辺にカジノ設置を積極的に働きかけている。
秋の臨時国会に議員立法で法案を提出する準備をしているといわれている。法案がすんなり通るかどうかは微妙な状況ではあるが、数年以内には確実に合法化されるだろうと専門家は見ている。それを受けて仙台空港に近い名取市はカジノ開設について1万2,000人の署名を集め、誘致に名乗りを上げており、地元も歓迎の姿勢を示している。
マカオやシンガポール・韓国など、過去数年の間にアジア全域で合法化が進む中、日本も20年前とは異なり、最近は『カジノは邪悪な場所』という見方が少なくなっている。
税収不足に悩む自治体にとって「カジノ」は魅力的であるが、犯罪の増加などによる治安の悪化を恐れ反対する市民も多くクリアする問題点は多い。
「カジノ」誘致によりホテル・商業施設・レストラン・エンターテイメントなどが複合的に導入される「都市型複合観光施設」は、多くの観光客誘致及び膨大な雇用を生む。
人口の減少に悩む北九州市にとって、新日鉄と住金の合併に伴う大幅な人員の削減や下請け企業の整理統合などが急速に進展するようなことになれば、さらに厳しい事態となる。
両社の合併により広大な遊休地が生まれることになるが、これを負の遺産と見るのかそれともチャンスと見るかによって北九州市の運命は決まるかもしれない。小倉から若松までに広がる敷地、24時間運用が可能な北九州空港、九州新幹線の開通、大陸との玄関口などによる交通の利便性、関門海峡のクルージングなど数多くの利点がある。両社の合併発表は、北九州市にとって「カジノ誘致」の名乗りを上げるためのエポックメイキングな出来事なのかもしれない。
今回シリーズで新日本製鉄と住友金属工業の北九州市における歴史的背景およびその経済的な影響力について取り上げてきたが、10月以降両社の合併についての公取委の結論が待たれることになる。いずれにせよ両社の合併は北九州市にとって大きな影響を与えることが予想される。新日鉄の労組出身である北橋市長の手腕が問われることになる。
最後に「カジノ誘致」は一つの提言であるが、今こそ官民の英知を結集して北九州市のグランドデザインを再構築する議論が活発に展開されることを切に願うものである。
【北山 譲】
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