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トリアス久山物語『夢の始終』(16)~流通業の外資上陸
経済小説
2011年8月26日 07:00

<流通業の外資上陸>

 1990年代の半ばになると我が国流通業を巡る状況は一変した。

ユニクロ まず、新規出店は各社とも徹底的に郊外型にこだわった。
 しかし、マーケット全体の伸び率が縮小したため、店づくりや品揃えの詰めのいい企業と甘い企業の差が出てきた。
 それに、多様化するニーズに対して、GMSの品揃えが陳腐な「よろず屋」的になり、飽きられてきた。その一方で、各分野の専門店が、GMS以上に先鋭的にチェーンストア経営理論に傾注し、各専門分野での深い品揃えで消費者のニーズをつかみ成長をはじめた。衣料品のユニクロや家具のニトリはその最たる例である。

 外資の参入も 90年代の流通業の風景であった。
 自動車輸出で勝ちすぎた我が国は、貿易黒字の縮小と外資に対する国内市場の非関税障壁の撤廃を強く求められていた。そういうなかでアメリカ資本の流通業の日本国内での展開は、これらの日米摩擦を解消する切り札として注目され、促進もされた。
 そういうなかで進出が浮上したのがおもちゃのトイザラスとフランスのハイパーマーケットのカルフールであった。そして、ウェアハウスクラブのコストコもまたそれと同等に注目された事例であった。

 トイザラスやコストコのアメリカ組は、アメリカのスタイルをそのままコピーして展開した。
 トイザラスは、トリアスからもほど近い新宮の国道3号線バイパス沿いのショッピングセンターに1992年に出店。これは国内3号店であり早期の出店として注目された。

 そういうなか、外資流通業の日本進出の目玉として登場したコストコは、チェーンストア経営理論の用語では、ウェアハウスクラブというスタイルである。
 店舗は天井の高い倉庫型で薄暗い。商品の陳列は、鉄架台やパレット積みであり、小ぶりの商品はダンボールのまま売られている。店内の補充作業は、大型の台車や小型のフォークリフトを使って行なわれる。要は、店内作業を徹底的に効率化することにより少人化し、販売ロットも大きくすることで、卸売並みの価格で商品を販売しようというコンセプトである。入店するには、年会費を支払って会員となり写真入りのIDカードを作らねばならない。

(つづく)

【石川 健一】

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<プロフィール>
石川 健一 (いしかわ けんいち)

東京出身、1967年生まれ。有名私大経済学卒。大卒後、大手スーパーに入社し、福岡の関連法人にてレジャー関連企業の立ち上げに携わる。その後、上場不動産会社に転職し、経営企画室長から管理担当常務まで務めるがリーマンショックの余波を受け民事再生に直面。倒産処理を終えた今は、前オーナー経営者が新たに設立した不動産会社で再チャレンジに取り組みつつ、原稿執筆活動を行なう。職業上の得意分野は経営計画、組織マネジメント、広報・IR、事業立ち上げ。執筆面での関心分野は、企業再生、組織マネジメント、流通・サービス業、航空・鉄道、近代戦史。


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