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上海最先端レポート

平均月収、蘇州が上海を抜いて1位に~月約2.8万円
上海最先端レポート
2011年8月11日 07:00

 蘇州のヒューマンリソーシズ研究所は、中国の長江デルタにある3つの重要経済地区、すなわち上海、無錫、蘇州のブルーカラーを対象として月の収入状況を調査・分析し、そのレポートを発表しました。調査期間は2010年11月から11年4月まで。対象会社は、3地域の欧米企業、日系企業、韓国企業、香港と台湾企業、合弁企業、内資企業(中国内陸資本)からなります。

 その調査結果によると、全体的に、今期の月収水準は過去3年(08年~10年)より大幅にアップし、平均月収が2,200人民元(約2万6,400円)を超えました。なお、年別の3地域内のランキングでは、08年:無錫、蘇州、上海、09年:上海、無錫、蘇州、10年:上海、蘇州、無錫、11年:蘇州、上海、無錫となっています。

 そのなかで、蘇州の平均月収は2,330人民元(約2万7,960円)に達し、近年の調査では、蘇州が初めて上海を上回っています。企業別ランキング上位3つは、韓国企業、香港と台湾企業、内資企業の順でした。

蘇州 この結果を元に、同研究所は次のように分析しています。(1)蘇州は、11年4月の月収が最も高く、2,447人民元(約2万9,364円)であった。11年の月収は去年同期比10%増で、07年11月の水準より30%上がった。(2)無錫は、11年2月の月収が最も高く、2,288人民元(約2万7,456円)であった。上昇傾向にあるものの、増額幅は大きくない。(3)上海は、11年4月の月収が最も高く、2,581人民元(約3万972円)であった。変動が激しく、10年12月、11年2月、11年3月はそれぞれ、前年同期に比べると低い。
 この分析が示すベースアップの背景として、(1)内陸部の経済発展につれて、就職のチャンスが増え、長江デルタに回される出稼ぎ労働者の人数が減りつつあること。(2)労働者の仕事の選択肢が増える一方で、企業側は魅力的な賃金を提示しないと、職員の流動性が高くなってしまうこと。(3)庶民生活を改善するため、各地方の政府が最低賃金を上げるなどの政策を打ち出し、効果が少しずつ出始めていることなどをあげています。

 その一方で問題点もあげられています。ひとつは、今期の月収増は、残業代の増加の影響が大きい。つまり、残業時間が長くなることで、収入が増えていることです。職員の仕事内容や環境に変化があまり少なく、同じ仕事を長時間すれば次第に倦怠感が出てきます。

 また、数字的に月収が増加していますが、同期の物価などインフレの要素を考えると、実際の購買力がアップしたかどうか確定できません。現実的に、上海のような大都市での生活コストは高く、出稼ぎ労働者にとって楽な暮らしができるまで、さらに多くの収入が不可欠です。いかに賃上げの礎をより着実なものとし、生活改善につなげながら、企業が合理的な利益を保つことが実現できるかが、問われています。

 同レポートでは、将来的な展望として以下のようにまとめています。

 「廉価な労働力に依存し、単純な作業を繰り返すことで、世界競争で優位性を獲得できる時代が終了しつつある。これからの時代は、上昇する人件費に対応するため、職員のトレーニング強化や企業管理方式の最適化を通じて生産効率を上げらなければいけない。また、これより先の一定期間、賃上げが常時起こることを、企業は覚悟する必要がある。ある意味、企業が積極的に賃上げをツールとし、自社の魅力を訴えて、優秀な人材を集めることで、さらなる成長が図れる」。

【劉 剛】

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