昨季のアビスパ福岡は3,400万円の経常利益を確保した。J2では大分、徳島に次ぐ。だが、それまでの累積損失2億3,400万円を抱える。純資産額は8,700万円。札幌並の赤字を計上すればたちまち債務超過転落の危機に陥る。こうした脆弱な財務体質は福岡に限ったことではない。J2では徳島以外の全18クラブが累損を内包している状態だ。単年度で最多1億1,200万円の経常利益を上げた大分は、10億5,200万円と多額の債務超過に苦しんでいる。ほかにも札幌、岐阜、草津、熊本、水戸の5チームが債務超過に陥っている。
自己資本比率が最も高い愛媛の86%は一般企業では考えられない高水準だが、金額でみると1億8,900万円。今期の愛媛の赤字を10年続けてしまうとあっという間に食いつぶしてしまう。強力な親会社サポートに支えられる柏と累損のない徳島が相応の基盤を有するが、他のクラブの財務基盤は驚くほど脆弱だ。
J1でも神戸ら4クラブが債務超過。京都の累損額は38億円を超える。鹿島のみ単年度決算、自己資本額、同比率で突出した数値を上げるが、圧倒的な営業収入を誇る浦和でも自己資本比率21%、額で3億1,500万円に過ぎない。
巨額の親会社支援のあるクラブを含めて多くが脆弱な財務基盤の上でクラブ経営を余儀なくされていることに加え、存続すら危ういクラブが複数あることも浮き彫りになった。
【鹿島 譲二】
※記事へのご意見はこちら