今回は7月25日に福岡市経済振興局などの主催で開催された「第3回アジビズセミナー」。
「これを知らずに中国に出るな!~中小企業が中国で成功するための39の智恵~」と題して、中国在住のコンサルタント、上海シーサービジネスコンサルティング 門脇 圭 氏が、受講者80名に熱く語った。
門脇氏によると、中国で「日本製だから売れる」という時代はもう終焉を迎えているという。日本人はえてして「日本の技術、製品に過信し、自分の製品を売りたがる」傾向にある。そのため、せっかく中国に進出したが、やむなく撤退を余儀なくされた企業もたくさん見てきたという。
「作るのは中国。しかし、商品を創造し、開発するのは日本人。使う(買う)のは世界中。これが10年後の世界標準になる。」こうした時代に日本の中小企業が中国に進出して成功するためには、社長自らが中国に「土着」し、「迎合」することで、中国の人々に必要とされる製品やサービスを生み出すことができるのだという。
海外経験通算18年、中国8年の経営経験、コンサルティング経験から、門脇氏が生み出した「成功するための39の智恵」。この中には、起業の下準備、社長の心構え、日常生活について、現地スタッフとの接し方などが網羅されている。その中でも、印象に残った代表的なものを紹介する。
<日常生活について>
中国に来てから半年間は仕事をせず、言葉を知り、生活、文化を知ることが先決だという。半年間の留学費用は10万円程度、通訳に頼って仕事を進めることは危険だ。ホテル住まいも生活や文化、風土を知る上で、やらないほうがいい。中国の庶民と同じ収入、生活レベルで暮らしてこそ、本当の中国がわかるのだそうだ。
<現地スタッフとの接し方について>
現地スタッフとの「飲ミニケーション」はどうすれば良いのか、社員旅行にはどこに連れて行けばいいのか、やる気のない現地スタッフへの対応など、中国でビジネスをするうえでの問題は枚挙にいとまがない。門脇氏は、長年の経験から、キーパーソンは女性の方が良いし、社員旅行は日本という国を知ってもらう機会にすると良いという。中国人と日本人はそもそも感覚が違うので、「こんなことぐらい言わなくてもわかる」は通用しないという。
門脇氏は、中国に進出しようとする日本の中小企業経営者に伝えたいことは、「中国人にとって、皆さんひとりひとりが日本人の代表であること」を意識してほしいということだという。「自分の売るものが誰のためになるのか」、「なぜ、この商売を始めたのか」、商売の原点に立ち返り、どこの市場で勝負するのか考えてほしいという。衰退しつつある日本市場から、発展する中国市場へ、他国のフィールドを借りて商売をしていくこと。それは、中小企業にとっては最後の砦となるかもしれない「嫌いな国の人と働く中国人と、市場を開放してくれている中国に感謝の念を忘れてはならない」ということだからだ。
今後、中国での商売は長期戦、持久戦になる。最も顧客(中国人)のことを考えた者が勝者となるのだという。
【杉本 尚丈】
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