中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
このほど、中国インターネット情報センターは、「2011年6月末の中国国内でのインターネット利用者数は、10年末より2,770万人増加し4億8,500万人となった」と発表した。
特に、ミニブログ利用者数の増加が著しく、10年末の6,311万人から1億9,500万人へと、たった半年で約3倍となったという。
多少偏った視点かもしれないが、この利用者増の要因に日本のAV女優の存在がある。今年になって中国で起こった日本のAV嬢の話題の一部を紹介する。
今年3月、東日本大震災が発生して3日後の14日、中国のインターネットニュース各社は震災の惨状を放映するとともに「日本の有名AV女優、波多野結衣さんが海岸での撮影中に津波にのまれ、震災の死亡者リストに載っていた」と一斉に報じた。日本では誰も知らないことが中国で大きな話題となったのだ。日本では名前すらあまり知られていない彼女だが、中国の若者の間では、映画「レッドクリフ」に出演した台湾の映画女優「林志玲(リン・チーリン)」に似ているとかで「AV界の林志玲」と呼ばれているらしい。
もちろん日本では彼女が亡くなったという情報はなくデマだったようだが、報道された当時、中国では多くのファンが嘆き悲しんだという。
一方、日本でも人気のあるAV女優、吉沢明歩さんは、カリスマAV男優の加藤鷹さんらとともに香港のピンク映画に出演するなど、活動の幅をアジアに広げている。撮影場所となった香港のとある倉庫では多くの報道陣がつめかけ、さながら有名映画スターを取り囲むような熱狂ぶりだったようだ。さらに、彼女は、今年11月にはAV女優たちのユニット「エビス・マスカッツ」のメンバーとともにアジア各国を回り、ライブ公演を行なう予定だという。
こうしたAV女優たちのAVを超えた活動は、日本文化を知るひとつの潮流として中国に広がりつつあるようだ。「世界一の変態度」と称される日本のAVだが、AV自体がひとつの産業を形成し、AV嬢たちは一種の職業人としての地位を確保していることが、中国にない日本文化の研究対象となっているようだ。現に、今年3月、教育界から非難を受けながらも、香港大学専門研究学院で開講された「日本の性風俗文化」というテーマの講義では、講義のなかでAVを見ながら、AV女優が研究対象になっているという。
【杉本 尚丈】
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