<ウエアと雑貨、化粧品を一緒に集積>
博多阪急の好調さを象徴する『HAKATA SISTERS」。この売場は従来、百貨店がターゲットとしてこなかった20歳前後の若い女性向けに、旬のブランドを集めたことがロケットスタートにつながった。
とくに「ラグナムーン」「ドロシーズ」「アーキペラゴ ユナイテッドアローズ」など、これまでファッションビルでしか展開していなかったブランドを福岡初進出の博多阪急が導入した点は注目される。
ただ、百貨店ののれんを掲げる以上、あまりにセクシー・グラマラス系や低価格路線には走りづらい。そこでエレガンスさやクオリティを保ちつつ、ヤングレディスのトレンドセッターに照準を当てたセレクティングがこの売場の強みでもある。
さらに同売場にはアクセサリーや雑貨、靴、化粧品なども導入。お客がお気に入りのウエアを選ぶと同時に小物までコーディネートでき、またメイキャップを考えられるように編集したことは、お客から「博多阪急が買いやすい」と、集客の武器になっている。
基本的にブランドごとのしきりを取っ払うことはできないが、旬のブランドをフロア中央に集積し、その回りを靴や化粧品で囲んだことで、お客は買い回りやすくなっている。客動線を意識した計算されたレイアウトも、好調を支える要因にほかならない。
<売上げの大半は売れ筋が稼ぐ>
HAKATA SISTERSがヤングレディスのトレンドセッターに照準を当てたといっても、実際の売上げ数字はやはり全国一律の売れ筋ブランドが稼いでいるようだ。
メーカー系ではジュングループの「ロペピクニック」、SPA系ではポイントの「ローリーズファーム」、そしてレストランやマンションも手がけるアズノウアズの「アズノウアズ ピンキー」、ファッション雑誌のJJが火付け役となったメーカー、マークスタイラーの「ダズリンモア」などがそれだ。
特に県外からの客が増えた夏休み以降は、本来は4階で捕捉すべきヤングミセスをこうした階下のブランドが引きつけている。背景には4階がナショナルブランド中心で、デザイン的にもあまりに面白みがなく、価格も少し割高ということがある。
最近の女性は主婦になったからといって、野暮ったいスタイリングは受け付けない。むしろ30代でも甘く可愛らしいデザインで、若く見える商品を好む傾向が強い。
その意味で前出のロペピクニックやローリーズファーム、アズノウアズピンキーは、ヤングミセスが好むツボを見事に押さえたブランドと言えるだろう。
HAKATA SISTERSの強みは、売れ筋ブランドを確実に押さえ、トレンドセッター向けとうまくシンクロさせてお客のエージを広げて捕捉するマインド型編集ともいえそうだ。
【釼 英雄】
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