「博多花天神」は、今年(2011年)3月27日から運航を開始した。キャナルシティ博多より少し北西にある「福博であい橋」のたもとに乗り場がある。(株)能古マリーン観光(福岡市西区、石橋貢冶社長)が運営しており、であい橋と能古島をつなぐ航路と、那珂川・博多湾を遊覧するナイトクルーズの2航路がある。
乗客数は、能古航路は3月の就航から4月末までで333名(9日間運航、大人305名、子ども13名、幼児15名)、5月は311名(8日間運航、大人269名、子ども21名、幼児21名)、6月が梅雨と潮高の影響で運航が困難となり欠航した。7月は6便で41名だった。ナイトクルーズは5月から再開し、10便運航し乗客数は51名、6月(20日現在)は3便運航し12名、7月は大幅に便数が増えて26便で167名だった。
現在、博多(那珂川)と能古島をつなぐ船を運航する会社として、能古博物館や能古アイランドパークなど能古島の観光産業との連携を図るべくプランを模索中だ。うまく連携できれば、現在は姪浜渡船場しかない能古島への渡航が便利になることが期待される。
しかし一方で、口コミで乗客数は比較的確保できているものの、潮の満ち引きや天候によっては運航できないという課題もある。たとえば「那珂川の橋は高さが低く川も浅いため、満潮時には橋をくぐれません。もう20センチ高ければ。雨が降って海が時化たときも難しいです」と、営業担当の中村太一氏は語る。
博多花天神は100%バイオディーゼル(BDF、植物系廃油燃料)で運航されており、CO2削減可能で環境に優しいエコな交通手段として注目を集めている。一般的な軽油とくらべ、1L当たり20gのCO2排出削減が可能。花天神で1カ月に使用するのは500Lであり、月10kg、年間120kgのCO2を削減している。
燃料精製、販売を担っているのは、福岡県朝倉市に本社を置く(株)オオタ(太田富士夫社長)だが、最近BDFが不足してきたという問題がある。「花天神は普通の軽油でも動きますが、やはりエコや経費面を考えると、なるべくBDFを使いたいと思います。ただ、廃油の回収自体が不足してきたこともあり、このままでは軽油を使わざるを得ません。ぜひ飲食店やホテルなど、料理によって植物性廃油が出るところは、当社かオオタさんに一声おかけください」(中村太一氏)。
【大根田 康介】
[COMPANY INFORMATION]
(株)能古マリーン観光
代 表:石橋 貢冶
所在地:(本社)福岡市西区能古660-2
(営業所)福岡市東区箱崎4-30-10
設 立:1989年7月
TEL:092-651-6555
※運航時刻表および料金についてはホームページ参照
天神~能古島コース
那珂川・博多湾周遊コース
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