NET-IB NEWSネットアイ

ビーニュース

脱原発・新エネルギーの関連記事はこちら
純広告用VT
カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

政治

続く抵抗戦 戦犯官庁・経産省の反撃(前)
政治
2011年8月10日 12:03

 未曽有の国難を招いた責任省庁の経済産業省が菅官邸に反旗を翻している。市民派あがりの菅首相を侮り、彼の進める脱原発路線を骨抜きにしようと抵抗戦を続けている。そんな経産省の主流派官僚たちから「ドンキホーテ」に祭り上げられたのが、海江田万里経産相である。

経済産業省 8月4日朝、経産省内は蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。朝日新聞がその日の朝刊で、「原発関連3首脳更迭へ」と一面トップのスクープ記事で報じたからだ。更迭される3首脳とは、松永和夫事務次官(59)と細野哲弘資源エネルギー庁長官(58)、寺坂信昭原子力安全・保安院長(58)の3氏である。彼らは東京電力の福島第一原発事故の初動対応に出遅れて被害を甚大に拡大させた。それにもかかわらず、九州電力の玄海原発の再稼働に突っ走り、発送電分離という東電の経営体の改革には抵抗し続けた。

 おまけに、木村雅昭エネ庁前次長(現大臣官房付)がインサイダー取引をしていた疑いが強まり、証券取引等監視委員会に強制調査を受けた。テレビでおなじみになった西山英彦審議官(同)は、不倫相手から週刊新潮に告発される始末。ついには四国電力や中部電力の原発シンポジウムで、原発を規制する側の保安院が「やらせ」の演出を指示していたことが明るみに出た。

 これだけの不祥事が続けば、3首脳の更迭は「むべなるかな」である。"総理の英断"と称賛されても不思議ではない。

 ところが、ことはそう単純ではない。これは実は、3首脳ら経産省主流派の生き残り作戦なのである。「更迭」や「人心一新」という刺激的な言葉が各紙を飾ったが、それは「偽装」なのだ。狡猾な経産省の主流派に、官邸はまんまとしてやられた。

 菅官邸は相次ぐ不祥事に加え、政権が目指す脱原発・再生エネルギー重視の路線に抵抗を続けてきた経産省の抜本改革は不可避と見て、7月に入って保安院の寺坂院長の更迭に動き出した。しかし、寺坂氏を代えたところで松永次官と細野長官が生き残っていれば、省の方針の大きな転換は望み薄だ。そこで、3首脳の更迭という基本線ができあがった。7月半ばのことである。

 官邸はこの過程で経産省のOBや省内の改革派官僚らに接触し、後任の人選に動き出していた。この動きを察知した松永氏が、先手を打って逆に自ら3首脳の首を差し出す方針を固めたのである。

 海江田万里経産相は8月2日、官邸に菅首相と枝野幸男官房長官を訪ね、3首脳の交代を報告したが、その際に「後任は省内から起用する」と述べ、菅官邸が後任人事にくちばしを挟まないよう牽制している。「省内から起用する」として後任に浮上したのが、安達健祐経済産業政策局長ら松永氏の息のかかった幹部官僚である。順当な人選だ。つまり、3首脳は引責辞任した格好を装うが、後任幹部人事は自分たちで選び、省内に影響力を温存しようという腹だったのだ。松永氏ら3首脳の在任は1年を超え、ちょうど夏の幹部人事の時期にあたり、通常の人事異動なのである。

(つづく)

【尾山 大将】

 (了) ≫

*記事へのご意見はこちら

関連記事

powered by weblio


政治一覧
政治
2011年7月27日 18:05
純広告VT
純広告VT

純広告用レクタングル


IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル