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五山の送り火問題~秋の京都観光へ暗い影
社会
2011年8月11日 07:00

一本だけ残った高田の松林 岩手県陸前高田市の景勝地「高田松原」の松林が津波で流されて壊滅状態となり、現在生き残っているのは一本だけとなった。

 枯れた松の木は護摩木として京都市の伝統行事「五山送り火」の一つ「大文字」で8月17日に燃やされ、仏教の総本山の多い京都市と被災地の陸前高田市とが共に犠牲者を弔い「絆」結ぶはずだった。枯れた松の木は薪に加工されており、干草や瓦礫と違って放射能汚染はまったく問題ないと言われているにもかからず、京都市や大文字保存会に市民から「放射線汚染が心配」などの声が寄せられたため計画は中止。

 そのため避難所の敷地内に積まれた333本の薪は8日夜、陸前高田市で「迎え火」として燃やされた。薪には遺族らが、犠牲者の名前のほか「会いたい、会いたい」などと犠牲者を弔う言葉がつづられていたという。

 1千年に1度の大震災に見舞われた2万人以上の犠牲者に対して、神社仏閣が多い京都から「五山送り火」の薪として高田の松が燃やされることは、旧盆の「送り火」として犠牲者への鎮魂の思いを込め、静かに霊を送るのに最適であったにもかかわらず見送られた。

 その理由は、保存会全員の意見が揃わなかったからだという。その代わりに保存会のメンバーが陸前高田市に行き、写真撮影したものを持ち帰り別の護摩木に書き写したり、画像を貼り付けたりして、16日の送り火で燃やすことになった。

 しかし8月10日になって、中止を批判する市民の声が相次いだことを受け、事の重大さに驚いた門川大作 京都市長は直接、戸羽太 陸前高田市長に電話で相談し、急きょ別の薪500本を受け入れることを決めたという。

 今年(2011年)は、法然上人の800回忌、親鸞聖人の750回忌にもあたり、大きな行事が続く京都市であるが、犠牲者を弔う心を忘れた京都市民の姿勢に敏感に反応する国民も多く、二転三転した今回の対応は秋の京都観光に暗い影を投げかけることになる。

【北山 譲】

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