九州電力(株)の「やらせメール」問題に関して、「やらせ」を指示したという疑惑の元である九電側のメモ(以下、九電メモ)の内容について、趣旨やニュアンスが違うとの説明を行なった古川康佐賀県知事。9日に開かれた佐賀県議会 原子力安全対策等特別委員会が、その説明の場となったが、当然のことながら、それで「一件落着」とはいかなかった。具体的な相違点については、議事録ができ次第、提出されるとのこと。一方で、質問に立った佐賀県議への答弁のなかで、いくつかその相違点があげられた。
まず、ひとつは、「やらせ」とともに大きく問題視された、自民党県議に対する支持者を通じた働きかけの要請である。九電メモを引用すると、「今後の動きに関連して、以下の2点を九電にお願いしたい。(1)自民党系の県議会議員さんはおおかた再起動の必要性について分かっているが、選挙を通じて寄せられた不安の声に乗っかって発言している。議員に対しては、支持者からの声が最も影響力が大きいと思うので、いろいろなルートで議員への働きかけをするよう支持者にお願いしていただきたい」とある。このうち「議員に対しては~」の部分について、古川知事は「言った覚えがない」と、否定した。
また、古川知事が菅総理の言動を玄海原発再稼動への『リスク』と発言したとするメモ内容についても「覚えていない」としている。その一方で、リスク発言に続く「全国知事会議では、発電再会に向けてのメッセージを読み上げる予定で、経産省とすり合わせた原稿が用意されていたのに、その場になって読み上げてくれなかった」(九電メモから引用)との内容については覚えており、「何人かから聞いたことを紹介した」と説明した。
一方、九電側では、問題のメモを作成したとされる大坪佐賀支社長(当時、佐賀支店長)を月内にも解任する方針という。第三者委員会の調査結果を待たずしての処分である。九電側が非を認めたと言ってもいいだろう。古川知事の言う通りであるならば、九電メモは、事実無根の内容が含まれている『ねつ造文書』だ。はたして本当なのだろうか。結局のところ、真相は闇のなかである。
【山下 康太】
*記事へのご意見はこちら