<夏休みに入り集客に弾み>
この半年を振り返ると、JR博多シティの好調さを牽引したのは、アミュプラザの東急ハンズ、くうてん、博多阪急のHAKATA SISTERSの3業態だ。
東急ハンズは開業からビューティやキッチンなど女性を対象とした商品が好調で、同駅ビルの主要ターゲットとうまくリンクしたかたち。
また、子育てを楽しむための便利で高感度な育児グッズも、既存店では取り扱っていないため、多くの親子連れを集めている。
4階エスカレーター横のスペースでは、常時、なんらかのイベントが展開されており、夏休みに入った7月下旬の土日には、ペットボトルの貯金箱や「びっくりアメーバ」を手作りするワークショップが開催され、多くの子供たちを集めていた。
開業から計画比110%以上で推移してきた売上げは7月に入り一時落ち込んだが、夏休みに入ると広域からの集客が増え、8月は2ケタに回復している(山本店長)という。
もっとも、好調のポイントはやはり店づくりと商品展開の妙だ。購買頻度が低くても、ハンズらしさの商品を売場のフェイスに並べる手法。そしてオフィス、アウトドアなど利用機会別であっても同じカテゴリーの商品なら1カ所に陳列するスタイル。同店ならではの販売演出が新たなファン客を獲得し、集客、売上げに大きく貢献している。
<駅ビル=グルメの強さを示す>
レストランフロアくうてんの強さは、衰えることを知らない。開業からお客がせきを切ったように訪れ、老舗や人気店は行列は当たり前の光景となってきた。
さらに夏休みに入ると、今度は各地から旅行客が押し寄せており、これまで行列しなくても入店できた店舗まで、ランチタイムには多くのお客が並んでいる。
人気店の筆頭は、牛たん炭焼の「利休」。九州では牛たんの専門店が少なく、主に米国産肉を使っていることなどから、風評被害の影響も受けずに多くのお客を集めている。
老舗では、開業時こそそれほどでもなかった四川料理の「四川飯店」が徐々にお客を集め始めている。福岡で中華料理と言えば、広東系のメニューが広く浸透している。しかし、他店の行列でこちらに流れたお客が麻婆豆腐などの味に新鮮さを感じ、リピーターになっているようだ。
他にも職人が打つ手打ち麺の「37 PASTA」は家族連れやシニアのカップルで賑わい、野菜たっぷりのカレーやヘルシー粥などの洋食が楽しめる「神戸カフェ」は若い女性客が絶えない。県外からのお客に人気の博多ラーメン店「一風堂」も、天神西通り店の行列がそのまま移行した感じで長蛇の列が続く。
通常、レストランフロアは3カ月くらいで沈静化するが、ちょうど夏休みが起爆剤となり、好調さは秋以降も持続しそうである。
【釼 英雄】
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