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民主党代表選 「ポスト菅」をめぐる争い(序)
政治
2011年8月18日 13:17
2011年8月15日
副島国家戦略研究所(SNSI)・中田安彦

 この夏はひときわ暑い。私は福島県田村市都路(旧都路村)にあるSNSIの事務所で読書や情報調査をしながら過ごした。ついきのう、帰京したところだ。都路は「緊急時避難準備区域」に指定されている原発30キロ圏内の村で、人口は3,000人ほどいたが、避難者が多く実際には200人ほどしか残っていない。営業している店も一軒しかなく、後は人の集まるところといえば診療所と20キロ圏内の警戒区域への一時帰宅のバスが止まっている体育館くらいだ。20キロ圏の手前では各県警からの機動隊が交通を封鎖しており、3・11震災後の原発災害の雰囲気を肌で感じることができる場所だ。

 そんなわけで、私も書店にしばらく行っていなかったのだが、帰り際の駅構内の書店で目についたのは雑誌『文藝春秋』の巻頭特集にある民主党代表選挙に名乗りをあげた民主党有力政治家たちの文章である。文章を寄せたのは、野田佳彦財務大臣、馬淵澄夫前国土交通大臣、海江田万里経済産業大臣の3人。代表選にはこのほか、鹿野道彦農水大臣や小沢鋭仁元環境大臣らも名乗りを上げている。

国会議事堂 みなさんも御存知の通り、菅直人首相は今月(8月)10日になって、明確に、すでに掲げている退陣3条件の通り、「二次補正」「再生エネルギー固定価格買取法案」(再生可能エネルギー特別措置法案)「赤字国債法案」の3つが成立したときには退陣することを国会での答弁で再度確認された。二次補正はすでに成立していたが残りの2法案も月内には成立する。これで菅直人退陣、月末の代表選挙を行なうことが決まった。

 支持率が10パーセント台に落ち込んだ菅首相。脱原発への執念はすごかったが、それを支える側近に欠けていた。東京電力の福島第一原発があれだけの世界的にも意味を持つ事故を起こしてしまったにもかかわらず、当時の経済産業省のトップ官僚への責任追及が十分になされていない。菅首相は閣僚にも見放され、四面楚歌の状況だった。
 一方では、原発再稼働をめぐって、玄海原発を運転する九州電力などのあからさまな「やらせ」の問題などが噴出していた。そのような脱原発路線には十分な追い風も生まれていたのだが、それをうまく生かせなかった。

 残念ながら、菅首相が「指導力」を発揮した場面は、企業の自家発電設備による「埋蔵電力」の活用など、電力需給に関するあらゆる情報を経済産業省に示すよう国家戦略室を通じて文書で指示したことくらいだった。
 脱原発という政策自体は間違っていない。しかし、菅首相にはそれを単なる理念にとどまらず、政策や工程表(ロードマップ)として具体化するためのブレーンが存在しなかった。

 この国では政策を作ることができるのは、今もなお官僚機構である。菅首相は、経産省批判を繰り返していた改革派官僚の古賀茂明氏やソフトバンクの孫正義社長にも接近していた。だが、原発事故直後からの事故対応で批判を与野党、マスコミから浴びていた菅首相には十分な時間が足りなかった。菅首相は、首相になってから震災までは、妥協して原発推進派となったが、もともとは自然エネルギー推進派だった。

 おそらく菅首相の意図を一番理解していたのが、細野豪志原発担当大臣だったとみられるが、細野は次の代表選には10日の段階で出ないと表明している。ただ、他の候補が崩れるのを待っているのかもしれない。今、菅、小沢、前原の三有力者の支持を獲得できそうなのは細野豪志だけだからだ。加えて言えば細野はホワイトハウスとも連絡を取り合っている。あるいは「次の次」かもしれないがいずれにせよ細野は近いうちに首相になる人物である。

 さて、冒頭で述べた、野田、馬淵、海江田の3者の文藝春秋への寄稿だが、偶然かどうかはわからないが、実際に「本命候補」と言えそうな野田・馬淵が揃って寄稿している。海江田の文章は単に菅直人首相への不満を述べているものであり、厳密には政策提案と言えるものではない。

 野田財務大臣は、松下政経塾出身者で、渡部恒三衆議院議員が率いる「民主党7奉行の会」のメンバーのひとりだ。ほかに前原誠司や玄葉光一郎らも7奉行メンバーだが、このふたりは今回の代表選挙には出ないようだ。前原は、野田を支える側に回るだろう。
 野田はすでに「財務省の組織内候補」と揶揄されているように、増税と大連立を今回の代表選の主要政策として掲げている。文藝春秋への寄稿でも「最大の危機は財政です」と述べている。「大震災を理由に財政健全化への取り組みを先延ばしにすることは出来ません」と、歳出カット以外での財政再建、つまり増税への意欲を見せている。
 さらに、この後、13日のテレビ番組に出演し、「自公との大連立を行なって救国内閣を作りたい」とも述べている。

(つづく)

<プロフィール>
中田 安彦 氏中田 安彦 (なかた やすひこ)
1976年、新潟県出身。早稲田大学社会科学部卒業後、大手新聞社で記者として勤務。現在は、副島国家戦略研究所(SNSI)で研究員として活動。主な研究テーマは、欧米企業・金融史、主な著書に「ジャパン・ハンドラーズ」「世界を動かす人脈」「プロパガンダ教本:こんなにチョろい大衆の騙し方」などがある。

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<お問い合わせ>
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