きょう(19日)、(株)安愚楽牧場の債権者説明会が、東京・両国国技館で開催された。雨足が強いなか、会場には1,000人を超える債権者が訪れた。同説明会は非公開で実施されたのだが、NET-IBでは債権者の協力の元、詳細情報を入手することに成功したので、連載のレポート記事として紹介する。
まずは説明会の冒頭、三ヶ尻久美子社長による謝罪があった。三ヶ尻氏は、安愚楽牧場が成長してきた経過を振り返り、同業他社が倒産するなか、「安愚楽牧場なら安心」というオーナーの声が成長の原動力になったと語った。また、BSE問題からはじまり、牛肉の産地偽装、口蹄疫問題、東日本大震災にともなう福島第一原発の放射能漏れ事故といった業界を取り巻く逆風について説明。そして福島第一原発事故の影響やセシウム牛問題で出荷停止となり、オーナーからの解約が相次ぎ、資金繰りが悪化したという倒産の経緯を語った。
同氏は最後に「ご支援をいただいた皆様のご期待を裏切ることになり、申し訳ございません。皆様へのご迷惑を最小限に食い止めるため、社員一同、一丸となって努力をしていく所存でございます。このようになってしまったことを、心より深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした」と、声を詰まらせながら語り、株式投資や不動産などの個人資産はすべて会社に戻し、返済などに充てることも明言した。
続いて会計士などから、民事再生に入るまでの経緯、民事再生の流れ、返済計画の骨子などの説明があった。
時折罵声が飛んでいたが、ここまでは比較的に場内は静かだった。しかし、質疑応答の時間になると、雰囲気は一変した。
質問者からの「7月の申し込みした場合、クーリングオフが適用されるのか」との問いに、回答者が「今は全額返済できない。すぐ答えられない」と答えると、場内は騒然とし、怒号や罵声が飛び交った。
だが、別の質問者が「東電や政府が賠償すべきだと思う。政府が補償を検討中とのことだが、答えを待つのではなく、今すぐに交渉してほしい」と述べると、会場は一転して、歓声と拍手が沸き起こった。
回答者が「文部科学省が東電の事故に対する補償の指針を提示しているが、それに当てはめ、どれだけの請求ができるのか検討中です。今は民事再生手続きの開始決定も出ていない状況なので、動けません。手続き開始次第、内容を詰めて東電や国と折衝していきたい」と回答すると、またも拍手の渦が起きた。
九州から参加した債権者は、家族を含め1億数千万円の投資をしていたという。その債権者からの質問は厳しかった。
債権者「社長の冒頭のあいさつは、謝罪ではない。口蹄疫問題の際には、会社の経営はまったく問題がない、と説明を受けていた。震災後には本社を訪問して経営状態を問いただしましたが、経営に問題があるという説明は一切なかった。4月の時点でもらった文書にも、『国から補償を受けるので、まったく問題ありません。心配は無用です』と記載されていました。ずっとそう言い続けていたのに、今では『口蹄疫問題や震災が影響した』と言っている。これは投資家にうそをついていたのではないですか? このことについて、三ヶ尻社長に弁明いただきたい」
三ヶ尻氏「・・・・・・・。えー・・・・・・・」
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