18日、宮城県石巻市は同市桃生総合支所にて東日本大震災発生から2日後の3月13日から消防団員と飲酒したとして市職員3名を懲戒処分とした。処分を受けた3名は、消防団長から酒席に誘われ、13、14日は支所の1階フロアで、15日以降は2階の和室で飲酒した模様。酒は各自が自宅などから持ち込んだという。
3月11日の東日本大震災の発生以来、警察や自衛隊をはじめ多くの人々が自らの命を顧みず人命救助に当たっていた。自らの家族や友人が行方不明という状況で、懸命な捜索活動を行なっていた人々も少なくはない。そのようななか、こともあろうに平時でも不謹慎と言える公共の施設で飲酒をしていたのだ。
この不祥事が発生した桃生地区は内陸に位置するため、とくに津波被害が大きかった石巻市においても津波被害はなかった。それでも地震による家屋の倒壊は相次ぎ、ライフラインが寸断されたなか、避難所生活を余儀なくされた市民は多い。
震災発生後、全国からさまざまな形で支援が始まった。多くの善意に被災者は心から感謝している。復旧が急がれるなかで繰り広げられた不謹慎行為に、呆れてはてて物も言えない市民もいる。
そのなかで石巻市在住の60代男性は、「情けないのひと言に尽きる。応援していただいている全国の方々に大変申し訳ない。厳正な処分を望む」と、語った。
自宅が倒壊した30代男性は「近所の人たちと食べ物を分け合って少しずつ食べていた時期に、飲酒とは腹立たしい。こんな時期だから『やけ酒』というわけでもないだろう。おそらく、日常的に支所内で飲酒していたのではないか」と、取材に答えた。
支所には約40名の職員がおり、震災発生時から泊り込みで対応にあたっていたようだ。ほとんどの職員は懸命に対応していたが、状況を理解できていない輩がいた。未曾有の災害で家を失った人たちを目の当たりにして、毎晩酒を飲む心境とはいかがなものか。前出の通り、市民からは訝しむ声もあがっている。「彼らにとっては、それが日常化した"習慣"だったのかもしれない」と。
【新田 祐介】
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