入場料より大きな収入源が広告料だ。平均入場料収入は総収入の21%に過ぎないのに対し、広告料の平均は45%にのぼる。売上の半分近くが広告料収入なのだ。
クラブによってこの額に大きな開きがある。これが、必ずしも入場料収入と比例しない。
総収入がJ2で突出していた千葉の広告料は20億円に迫る。福岡の3億7,700万円の5倍をはるかに超える額だ。入場料収入では福岡より8,500万円多いに過ぎない。差をつけられているのは広告料なのだ。
J1で広告料収入が最も多いのは大宮。入場者数、入場料で他を凌駕する浦和よりも多いが、入場料収入はJ1で4番目に少ない3億7,500万円に過ぎない。入場料収入J1最下位の京都も14億円を超える広告料を確保している。
山形の広告料は2億2,900万円。J2の平均4億5,500万円よりはるかに少ない。
広告料収入は各クラブにとって最大の収入源である一方で、クラブごとに大きな差になってあらわれている。
山形の運営母体はJリーグで唯一株式会社でない。社団法人「山形県スポーツ振興21世紀協会」が運営する。特定企業から巨額の支援はないが行政が積極支援しJ1で健闘している。
広告料全体トップの大宮の株主にはNTTグループが名を連ねている。J2で広告料が群を抜いていた柏は日立製作所の傘下だ。広告料が全体2位で抜群の入場料を誇る浦和ですら親会社は三菱自動車工業。広告料は形の変わった親会社支援と見れなくはない。地域密着を推し進めるJリーグだが、未だに企業スポーツの色合いを残すクラブが、多額の広告料を集め潤沢な資金を有しているのが実情だ。
脱7社会を目指し地域密着型へ舵を切った福岡も、現状では多額の広告費を集めるのは困難なようだ。
【鹿島 譲二】
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