古川康佐賀県知事が、九州電力側に「やらせ」を指示したとの根拠になっている九電メモ(関連リンク)をめぐり、大きく揺れている佐賀県政。佐賀県議会 原子力安全対策等特別委員会は8月23日、九電側の3名を招致し、古川知事が「主旨、ニュアンスが違う」と否定した問題のメモが、どのような経緯で作成・配布されたかなどについて問い質す・・・、はずであった。
ところが同日深夜に調査報道サイト「HUNTER」が、同日の朝刊で朝日新聞が、九電を問い質す場の進行を務める同特別委・木原奉文委員長の九電社員から政治献金を受けていたことが報じられた。同特別委は、この事実をめぐり、突然の対応を迫られた木原氏が所属する自民党県議団と、説明を要求する諸会派との間で紛糾。招致した九電側の参考人3名はそっちのけで、特別委の開始時間が3時間も遅れるという大混乱に陥った。
結局は、木原氏は委員長を辞任する方向で、委員長席は空席のまま、副委員長が進行を務めることになったのだが、このような混乱のなか、どのような質疑応答がなされたのか。以下、『備忘録』としての記録を掲載する。
<佐賀県議会 原子力安全対策等特別委員会 8月23日午後1時開始>
木原奉文委員長「開会にあたりまして私のほうからお詫びを申し上げたいと思います。本日は私の問題で本委員会の開会を議員および傍聴者、参考人の皆さまにご迷惑をおかけしまして、本委員会委員長として心からお詫びしたいと思っております。
なお、本委員会の進行につきましては桃崎副委員長にお願いすることにいたします。今後につきましては、自ら速やかに判断させていただきたいと思っております。それでは私はこれで退席させていただきます」
桃崎峰人副委員長「副委員長の桃崎でございます。本日はよろしくお願いいたします。ただいまから原子力安全対策等特別委員会を開催いたします。(省略) 最初に、参考人の出席についておはかりいたします。原子力安全防災対策エネルギー対策に関する諸問題の調査に関する件について、本日、九州電力(株)前副社長・段上守氏、同前常務執行役員・諸岡雅俊氏、同佐賀支社長・大坪潔晴氏、以上3名の方々を参考人とし...(省略)、意見を聞きたいと存じますが、これにご異議ございませんか?」
委員一同「なし」
桃崎副委員長「ご異議ないものと認めます。よって、そのように徹底し、その旨一同に申し出ることにします。暫時休憩します。準備が整い次第、委員会を再開しますので、このままお待ちください」
(約5分の間)
桃崎副委員長「(省略)段上参考人ほかの参考人、補助者の方々に一言ごあいさつ申し上げます。本日はご多忙中にもかかわらず、本委員会のためにご出席していただきまして、まことにありがとうございます。また、開会時間が遅れましたことをお詫び申し上げます。大変申し訳ありませんでした。これより、段上守参考人ほかに平成23年6月21日の古川佐賀県知事との知事公舎での面談の内容およびその後作成された社内報告メモの内容についてご意見を言っていただき、その後、議員の質疑に答えていただくようお願いいたします。それでは、よろしくお願いいたします」
段上守参考人「ただいまごあいさついただきました元九州電力の段上でございます。ご案内のとおり、私は6月末日をもちまして九州電力を退職いたしました。在職中、佐賀県議会、佐賀県知事、それから事務当局、それから佐賀県民の皆さまに九州電力の事業活動、とくに原子力に関しまして、ご理解とご指導ご鞭撻をただきましたことをこの場をお借りしましてお礼申し上げます。さらに、佐賀県議会におきましては、3月11日の東北地方太平洋沖大地震によりまして、東京電力の(福島)第一原子力発電所の事故の状況、それから九州電力が行ないました緊急安全対策につきまして、また、九州電力の電力供給の見通しなどにつきまして議会でいろいろと精力的に行なっていただきましたことを、あわせてお礼申し上げたいと思います。
しかしながら、このようななかで、さる6月26日に開催されました経済産業省主催の県民説明会に際しまして、九州電力の社員が社内および協力会社などに対しまして、発電の再開に賛成する意見投稿の要請をあてたことが7月6日の国会審議で明らかになりました。さらに、7月8日の佐賀県主催の県民フォーラムへの社内外の参加要請、重ねて玄海3、4号機の耐震データの入力ミスなどが判明しました。また、お話がありましたように6月21日に退任のご挨拶を知事にお伺いした際に作りました九州電力不正確なメモによりまして、佐賀県知事ならびに皆さま方にいろいろと誤解を生む資料になってしまいました。このような一連のことで、佐賀県民をはじめ、県議会の皆さま、県知事、ならびに県御当局など関係先の皆さまに多大のご迷惑ご心配をおかけした結果となりました。また、長年にわたりともに構築してまいりました信頼関係を失くすことになってしまいました。これらのことに関しまして、私ども3人とも非常に残念に思っておりますし、まことに申し訳なく思っております。この場をお借りしまして、あらためて心からお詫びを申し上げたいと思います。申し訳ありません。
さて、本日は、本特別委員会の場におきまして、平成23年6月21日の県知事との面談の内容、その後作成いたしました社内メモの内容などについて説明するようにとのご要請を受けて出席しております。本日は、私どもの知っている事実をご説明することで、少しでも一連の出来事に対しましてご理解が深くなればというふうに思っております。誠意を持ってお答えしたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、知事との面談などにつきまして、その事実関係を九州電力の大坪佐賀支社長に説明させます。
【吉澤 英朗、山下 康太】
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