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大手の商品力に屈した大川家具市場(前)~個性が発揮できず経営破綻
倒産を追う
2011年8月26日 14:14

 福岡県内に「大川家具市場Z館」という屋号で家具販売を行なっていた(株)大川家具市場が8月10日までに事業を停止し、事後処理を弁護士に一任。破産手続申請準備に入った。負債総額は約2億4,000万円。近年は売上不振に悩み、楽天市場などのインターネット通販も振るわず、最悪の結末を迎えてしまった。

大川家具市場本社前 同社は、家具の町・大川の傷物の家具や規格外商品などのB級品を安く販売することで一時期、話題になった。全盛期は八女、福岡、鳥栖などに店舗を有し、ピーク時には5億円近い売上高を計上していたとみられる。しかし、時代が進むにつれて、地場企業のナフコがインテリアと家具の専門業態「ツーワンスタイル」を出店し、業界の雄に伸し上がったニトリが低価格家具を販売するなどにより業界環境が激変。大川家具市場のB級品家具の価値が下がり、前述の大手に対抗する形で価格帯を下げて薄利多売になったことで、資金繰りも悪化。また、同社の主要取引先だった家具卸の(株)グレートウメヤ(本社:福岡県三潴郡大木町)が2008年1月に経営破綻したことで、大川のB級品家具が入手困難となり、店内には中国産やベトナム産の家具などが入荷されるようになった。当初のコンセプトが崩れたことで店舗の魅力はますます低下し、店舗閉鎖につながったようだ。

 地元関係者は、「ニトリやナフコの商品は、以前は「安かろう悪かろう」と言われていましたが、日々、商品のレベルは上がっています。消費者が『かなり安くて良いもの』と『安くて傷物』のふたつがあるならば、消費者ははたしてどちらを選ぶのか? 大手が進化したら、地場小売業は売り方を変える工夫をしないと今後、生き残ってはいけないでしょう」と語る。大川家具市場の経営破綻は、競争が激化する家具販売業界において、販売のあり方を改めて考えさせられる事象と言える。

(つづく)

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