中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
8月28日、中国最大級のお祭り騒ぎ「青島国際ビール祭り」が閉幕した。8月13日から16日間の日程で開催されたこのビール祭りには、1日に20万人以上の人が会場に訪れ、延べ1,100トンにおよぶビールが消費されたという。
このビール祭りは中国4大ビールメーカーのひとつ「青島ビール」の本拠地青島で1991年から開催されており、今年で21回目、中国の経済成長を反映して年々ド派手になる一方だ。最近では、若い女性や家族連れの来場者も増え、ビール祭りというより夏祭りイベントの様相を呈している。会場内では歌手のミニコンサート、水着ショー、ビール早飲み大会などのイベントが盛りだくさんで、真っ昼間から酔っ払い続出、夜になると人出はさらに多くなり、お祭り騒ぎ一色となったようだ。
中国でのビール消費量は年間約4,500万キロリットルで2004年以来世界トップ。世界の約4分の1のビールは中国で消費されている。一人あたりの年間消費量は30リットルあまりで日本人の6割ほどだが、年々ビールを飲む人は増えているようだ。中国人がアメリカ人並みにビールを飲むようになると、1億キロリットルをかるく超えてしまい、世界の半分は中国で消費ということにもなりかねないのだ。
もともと中国人は冷たい飲み物をあまり飲まない。飲食店に行ってビールを注文すると生ぬるい常温のビールが出てくることが多かった。日本人にとってはとてもまずくて飲めたものではない。日本から出張する飲べえが最初に覚える中国語は「ピンダ、ピジュー」(冷たいビール)だったのだが、最近ではちゃんと冷えたビールを出してくれる。中国人の食生活の変化なのか、冷蔵技術の進化なのか、ビールは冷たいほうがいいと目覚めてきたのだろう。
こうした中国市場の変化から、減少する日本市場を尻目に日本のキリンとアサヒが、拡大する中国ビール市場で戦っている。キリンは今年(2011年)1月、中国ビール最大手の華潤集団と提携、中国第2位の青島・アサヒグループとの熾烈なバトルを展開するなか、8月には華潤グループがアサヒの子会社「杭州ビール」を買収するなど、業界の再編もあわただしくなってきたようだ。
【杉本 尚丈】
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