中村 さあそこで、旧玄海町との合併から8年経ちますが、改めてその効果についていかがですか。
谷井 やはり効果はありますよ。一番良いのは、新しいまちづくりができるということです。古いまちのしがらみを壊すこともできます。また、当時は合併特例法に基づいて合併したのですが、合併特例債などの優遇措置がありました。その財源を活用し、新市の一体的なまちづくりができました。
旧宗像市は学園・文化都市、旧玄海町、旧大島村は歴史、海を含む自然と、それぞれの特性を活かしたまちづくりを進めています。
中村 要するに海の幸、山の幸すべてがあるわけですな。
谷井 宗像市の現在の主な産業は農業と漁業です。旧宗像市は農業だけでしたが、旧玄海町や大島の漁業が加わりました。合併の効果としては、新しいまちづくりに取り組んでいますが、「沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産の暫定リストに載ったのも1つですね。
それから赤間駅の周辺整備を行なっていますが、新市まちづくり計画では、赤間駅周辺を中心拠点にし、東郷駅を地域拠点、そして玄海町は自然・文化・歴史を持つ癒しのまちという棲み分けをしました。
中村 さあ、そこでこれからの宗像の産業についておうかがいしていきたいのですけれど、ここは農業と漁業だというお話がありました。しかし一方で、人口はほとんどベッドタウンでもっている面もあるわけでしょう。これについて、どのようにお考えですか。
谷井 合併して人口は現在の9万6,000人となりましたが、ほかと同じように高齢化・少子化が進んでいます。ベッドタウンとしての住環境は良かったのでしょうが、これはもう頭打ちでしょうね。ですから今後は、農業・漁業のほかに宗像ブランドを利用した観光というか、今後は「訪れてみたいまちづくり」にも取り組んでいきたいですね。
【文・構成:大根田 康介】
<プロフィール>
谷井 博美(たにい ひろみ)
1940年愛知県名古屋市生まれ。幼少より熊本で育つ。63年熊本大学法文学部を卒業し、福岡県庁に入庁後、福岡県鞍手福祉事務所に勤める。88年県立小倉高等技術専門校長に就任。89年県環境保全施設計画室長、92年、県農政部副理事兼農政課長、94年県企画振興部空港対策長、96年企画振興部長と、県の要職を歴任。99年に福岡県庁を退職し、空港周辺整備機構福岡空港事業本部理事に就任。01年宗像市助役、03年からは新宗像市助役を務める。06年宗像市長に就任。10年、市長選に当選し2期目を務める。
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