<北九州銀行の誕生の行方<2>>
1990年代初頭には、都市銀行13行、信託銀行7行、長期信用銀行3行。
・現在都市銀行は、「みずほ銀行」、「みずほコーポレート銀行」、「三井住友銀行」、「三菱UFJ銀行」、「りそな銀行」の5行となった。この5行が「金融庁本庁直轄銀行」とされ、これが行政上、「都市銀行」と表現されている。
・準都市銀行には、長信銀から移行した「新生銀行」、「あおぞら銀行」と「埼玉りそな銀
行」があり、金融庁は新生銀行およびあおぞら銀行を「その他」、埼玉りそな銀行を「地域銀行/その他」と分類しているが、3行とも地方銀行協会に加盟していないため、分類上「準都市銀行」とすると、都市銀行は8行となる。
・信託兼営銀行の三菱UFJ信託銀行、中央三井信託銀行、住友信託銀行、みずほ信託銀
行の4行は金融監督庁の本庁直轄銀行ではあるが、都市銀行には分類されない。
長期信用銀行は3行あったが、日本興業銀行以外の2行は経営破綻している。
・1998年10月に経営破綻した旧日本長期信用銀行(現新生銀行)の大野木元頭取等の旧経営陣に対して、2008年7月18日、最高裁は一審、二審の有罪判決を破棄し逆転無罪を言い渡した。
・1998年12月に経営破綻した旧日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)の粉飾決算事件で旧証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元会長久保田弘被告、元頭取東郷重興被告と元副頭取岩城忠男被告の旧経営陣3人の差し戻し控訴審判決で、東京高裁の飯田喜信裁判長は今年8月30日、「経営判断の範囲内で、会計処理に合理性があった」と述べ、執行猶予付き有罪の一審東京地裁判決を破棄、逆転無罪を言い渡した。
最高裁および高裁は、両事件とも旧経営陣を無罪とし、「旧大蔵省の金融行政そのもの」に強い不信感を示したが、裏を返せば当時の大蔵省は「金融機関に対して生殺与奪の絶対的な権限」を有していたことの証明でもある。
山口銀行は2004年5月21日の臨時取締役会で、田原頭取(当時)を解任して福田頭取を誕生させたいわゆる「頭取交代劇(クーデター)」が発生。当局の虎の尾を踏んだ。
翌年には経営危機に陥っていた「もみじホールディングス」との間で経営統合を前提にした資本提携を行ない、共同持株会社「山口FG」を06年10月1日に発足させて、「山口銀行」、「もみじ銀行」の二行体制となったのは記憶に新しい。
【北山 譲】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら