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覆面ヘッドハンターの一刀両断!

『再生のヒント』覆面ヘッドハンターが見た日本(4)~グローバル企業という滑稽
覆面ヘッドハンターの一刀両断!
2011年9月14日 07:00

<グローバル企業という滑稽>
 日本の大手電機メーカーは電化製品に留まらず、情報技術や工作機械、FA製品、産業用ロボット、電子デバイス、半導体、通信、物流、金融、リース、建設、昇降機、ビル管理、建機、化学、鉄鋼、金属、防衛製品、宇宙産業、鉄道車両など本当に幅広い分野を扱っている。そのうえで、8兆、6兆、3兆とかの売上を上げている。ただし、日本の総合電機メーカーはどこも得意、不得意があり、全体的には総じて利益率が低い。

 整理統合、事業統合、経営統合ができれば、利益率は大幅UPすることは経営者であれば誰でもわかる。「国益」を考えれば、違和感を唱える人はいるはずがない。日本経済の実態をつぶさにみれば、自分の在任中だけは波風立てたくないとか、労働組合がうるさくてとか、財閥系企業なので、とか言っていること自体が「ユデガエル」的発想なのだ。

 企業は、働いてもいない株主のものではないことは当然、従業員だけのものでものでもなく、日本社会、国民のものだ。だから、国税を投入して支える事態も出てくる。
 本当に優秀な中堅技術者は、「国益」的にも「人材の適材適所」という考えからしても、正常に流動化すべきであると考える。
 それができなくて、自社の株を外国人投資家に買い占められ、どこの国の企業かわからなくなってしまった結果、「グローバル化」を叫ぶほど滑稽なことはない。そんな無国籍の、コスモポリタン的な企業は世界のどこにも存在しないのだ。その戦略のお粗末さは真剣勝負の外国企業に笑われていることに気づくべきだ。

<職業選択の自由>
 最近、「国益」関連で少しショッキングな記事が新聞に出ていた。「司法修習生の就職が決まらず、就職未定が43%」らしい。過去最悪だ。
 実は、この兆候は数年前からあった。最初に私が驚いたのは、日本のトップ校の司法修習生が、大量に企業就職を希望してきたことであった。

 筆者は法学部出身だったので、最初はとても違和感を覚えた。通常、司法修習を終えると、裁判官、検事に任官し、それ以外のものは弁護士になって独立していくイメージがあった。もともと、高度な国家資格である国家公務員上級職、弁護士、公認会計士などは、人材紹介業界とは無縁だったからだ。
 もちろん弁護士になって、即企業に入る事例も皆無に近かった。今になって、優秀な彼らが当時言っていた「独立しても食べていけませんから」の意味がわかった気がする。

就職率の低下 一方、先日の別のニュースでは、大学生の未就職率が50%を超えたと出ていた。この国はどうなっているのか。大学を卒業した社会人の半数が定職に就かない国に未来があるのか。この環境で、「職業選択の自由」は死語に近い。
 そもそも、「職業選択の自由」とは、「自由に選択できる数、質に見合う職業が存在」しないといけない。それは、誰がみても現在はない。そればかりか、もうひとつの条件、「新卒の学生が職業を選択できる能力を持ち合わせているかどうか」についても疑問だ。
 双方で、権利ばかり主張し合ってお茶を濁し、実は解決材料がないと実感しているにもかかわらず、正常なコミュニケーションがとれなくなってきている。これも個人主義の弊害だろうか。

 中国でトップランクの大学を卒業した筆者の友人で、技術者である彼の最初の就職先は気象部(気象庁)だ。国が決めたことだ。当時、中国はトップクラスの学生は、すべてそれぞれ、国がその能力を期待するところに推薦されている。「国益」のためだ。今、中国も、80后、90后の時代となり、180度、360度変わってきていると思うが・・・・・・。しかし、私は、この話を思い出すたびに、やはりまずは、国の大きな目標、ビジョンがあって初めて、より現実的な個人のビジョン、目標、行動指針が生まれてくるものだと感じている。

 おそらく、就職を希望する学生はもちろん、企業もこのことに気づき始めているのではないかと思う。ただ、現実に帰ると、「自分の企業だけは・・・・・・」とか「自分の在任中だけは・・・・・・」とか、学生も「できれば自分だけは楽をしたい・・・・・・」とか、「カッコよく生きてみたい・・・・・・」とか、現実を逃避してしまっている。
誰がどう言いつくろっても、大学を卒業した社会人の半数が定職に就かない国に未来はない。国・民間一体となって、ぜひこの問題の解決に取り組むべき時期にきている気がしている。日本の「国益」、日本経済再生のためにも・・・・・・。

(了)

【富士山 太郎】

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<プロフィール>
富士山 太郎 (ふじやま たろう)
人材紹介、ヘッドハンティングのプロ。4,000名を超えるビジネスパーソンの面談経験を持つ。紹介する側(企業)と紹介される側(人材)双方の事情に詳しく、各業界に幅広い人脈を持つ。


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