金融庁は、3月11日の東日本大震災の発生直後に、全国銀行協会(会長:三菱東京UFJ銀行・永易克典頭取、以下「全銀協」)へ、震災の影響を受けて決済できなくなった手形や小切手について、不渡処分の猶予を要請していた。その猶予が10月以降も継続するかどうかが焦点になっていたが、震災後6カ月を経過した今も被災地域の経済活動再開のメドが立っていないことから、全銀協は引き続き当分の間、不渡処分を猶予する措置を継続することを発表。阪神大震災の際は発生から6カ月半で猶予措置を終えていたが、今回は被災地域が広く、原子力発電所の事故も収束していないことから猶予の継続を決めたとしている。
銀行は、手形や小切手が決済できない「不渡り」を第1回目に引き続いて、6カ月以内に第2回目を連続して出すと銀行取引を停止するため、不渡りを出した企業は事実上倒産するが、継続する特例措置によって、企業は手形などが不渡りになっても取引停止処分が猶予される。
本格的な復旧・復興までには相当の期間を要すると見られ、被災した中小金融機関に対する資本注入により本格的な企業救済措置を講じなければ、継続する特例措置だけでは企業と企業を支える金融機関とが共倒れする恐れもあり、金融危機が再来する可能性も含んでいる。
【北山 譲】
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