15日、福岡市東区香椎照葉で、「(仮称)グリーンコープ新香椎幼稚園 新築工事」の地鎮祭(祭主:香椎宮)が行なわれた。新築される建物は、2012年3月に閉園を予定している学校法人 筑紫海学園「香椎幼稚園」の幼児教育を、グリーンコープが新たに学校法人を立ち上げるかたちで引き継ぐための施設。香椎幼稚園の『幼児教育』は、場所をアイランドシティへと移して存続を目指す。
公立大学法人 福岡女子大学の建て替えにともない、香椎幼稚園を運営する学校法人筑紫海学園理事会は閉園を決定。2009年9月、その決定を受けて、同幼稚園に子どもたちを通わせる保護者たちが中心になり、「良い教育を地域に残そう」と、維持存続運動委員会(以下、存続委員会)を立ち上げた。
50年以上、地域密着型の幼児教育を続け、高い評価を受けていた同幼稚園は、保護者、教職員のみならず、卒園生や地域住民の間でも存続を願う声が高まった。09年12月9日に福岡県議会に提出した現地存続への支援を要望する請願には、それに賛同する約6万人の署名が添えられた。保護者が閉園決定を知らされてからわずか約3カ月後のことである。
その後、存続委員会は、現地存続から移転存続へと方針を転換し、同幼稚園の幼児教育を紹介する「香椎幼稚園新聞」を発刊。保護者や教職員たちは、街頭に立って配布を行ない、人々にその教育の良さ、存続の必要性を訴え続けた。そして今回、現学校法人の事業承継とはならなかったが、その訴えに共感したグリーンコープが新たに学校法人を設立することで同幼稚園の幼児教育の存続を目指すかたちとなったのである。
地鎮式後のあいさつで、新幼稚園建設委員会設立代表の行岡良治氏は「歴史を引き継ぎ、みんなの想いが通う幼稚園を作っていきたい」と、決意を語った。同建設委員会には、現香椎幼稚園園長の田北和子氏や存続運動に参加してきた保護者たちも加わっている。
参列していた存続委員会代表の占部みどり氏は、「香椎幼稚園を創立された方たちと同じ『よい教育を地域に』という想いから運動を始めました。新聞を配っていた頃、まさかこのような日が来るとは思っていませんでした」と、感慨深げに語った。
建設予定地は、福岡市立照葉小中学校のとなり。教育施設が充実することでアイランドシティの居住環境のさらなる向上が期待できる。関係者によると、入園を希望する保護者からの問い合せが増えているとのこと。現在、認可申請中だが、2012年4月から認可外保育施設として、13年4月から幼稚園としてスタートする予定だ。
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・保護者に励ましの声~香椎幼稚園 維持存続運動
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