私は、宗像は印象的にはベッドタウンという感じです。ただ、ものすごく風光明媚な海岸線があって綺麗ですから、世界中のトップクラスの研究者を呼べば、リゾート地として家族揃って長期滞在してくれる可能性はあります。
世界の空港事情から見ると、空港から車で1時間の風光明媚な場所に研究所があるなんて、世界でもめったにないと思います。ドイツの先生は「近い。空港から1時間でこんな場所が!」と驚いてくれますし、イタリアの先生は海岸に立って海を見て、「海の様子は地中海と何ら変わらない」と言ってくれます。アメリカの研究所は砂漠のど真ん中にあって、車で数時間走らないと着かないというのはザラです。海外からの取材もたくさん来ますけど、みんな「近い」という反応は同じです。
逆に、宗像まで行くのは田舎で不自由で大変だと言うのは、福岡と北九州の人たちです。玄海ロイヤルホテルなどの宿泊施設もありますし、国際会議を開こうと思えばできますので、これほど都合の良い場所はめったにないような気がします。
私は学生のとき法学部でしたが、法律がまったく面白くなく、人類学の教授をつかまえて考古学研究会を立ち上げ、神奈川県や群馬県などの縄文時代の遺跡発掘をずっとしていました。
そういう観点で言えば、宗像は沖ノ島や宗像大社に見られるように、おそらく古代からずっと最先端地区だったと思います。だから土地柄として、「大自然のなかで最先端のロボットをつくる」ことには何の不足もありません。部品調達なども、それこそ福岡・北九州のどちらの空港からも1時間ですから、とくに不自由はありません。
これからはやはり、「九州全体が、九州人のために、九州人のことを決める」のが良いでしょう。たとえば、「九州だけは法人税を17%」にして、九州で集めた税金は国が何と言おうが九州だけで使う。逆に地方交付税を一切もらわなくても、法人税が17%なら本社だけ九州に移す会社がぞろぞろ出てくると思います。
工場を誘致するというのは、「植民地にして良いです。こっちは人件費が安いから」と言っているようなものです。そうではなく、「コストは同じでも九州なら良いものができる、だったら九州に来よう」という魅力ある九州にすれば、独自の社会、文化、経済構造を持つ連邦国家として発展できる大いなる可能性を秘めています。
高本 陽一(たかもと よういち)
1956年2月24日、北九州市生まれ。神奈川大学卒業後、大阪市の産業機械製造会社に入社。その後、北九州市へ戻り「髙本商会」に専務として入社。87年11月、(株)テムスへ社名変更し社長に就任。2000年、(株)テムザックを設立し、ロボットの開発・販売に携わる。
(株)テムザック
所在地:福岡県宗像市江口465
TEL:0940-38-7555
URL:http://www.tmsuk.co.jp/
※高本の高は(はしごだか)
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