ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

クローズアップ

与えられるのではなく能動的に「民間の力」で経済復興を~ファーストヴィレッジ(株)・代表 市村洋文氏(2)
クローズアップ
2011年9月24日 07:00

ファーストヴィレッジ(株) 代表取締役社長 市村 洋文 氏

<民間の力から学ぶ>

 ―原発事故による3回目のピンチは、チャンスに変えることができるのでしょうか。

ファーストヴィレッジ(株) 代表取締役社長 市村 洋文 氏 市村 戦後始まって以来、最も厳しいピンチが今回の3.11だと捉えています。これは震災と津波に加え、原発の放射能漏れという3つの被害が重なってしまったからです。しかし、この危機に対して私は日本人の不屈の精神を信じたい。戦後の復興、オイルショックなど、過去に日本はピンチをチャンスへ変えてきた経験があるのです
 原発の依存度は現在30%ですが、自然エネルギーの活用や促進、太陽光・風力・水力による発電を活用し、依存度を下げていかなければなりません。今後は電力をつくる地域と送電する地域を別々にして、全国の電力が足りない地域に送電するような仕組みが必要だと思います。

 ―3.11をチャンスに変える秘訣はありますか。

 市村 3.11で痛切に感じたのは、「民間の力のすごさ」です。何でも国や役所を頼るのではなく、民と民が力を合わせれば、とてつもない力となるはずです。実際に3.11では、役人や役所ではできないことが、各地で起きました。
 震災後、銀座では日比谷公園に多くの人が非難しました。その際、帝国ホテルが一般人をロビーに受け入れました。日比谷公園に隣接していたこともあり、約2,000人が公園から流れてきたのです。当日は携帯もつながらない、帰宅もできない、水もない。帝国ホテルはそういう人たちに毛布を提供し、夜には非常用のカンパンや水を配布しました。また、当日帰れない1,200人が残ったのですが、その人たちに対し帝国ホテルは翌朝、野菜スープを振る舞ったのです。
 もう1つは東京ディズニーランド(TDL)です。地震発生時、TDLではすぐにキャストが、来場者を誘導していました。地震が起きた40秒後には、「地震が起こりました。建物から非難してください」といったアナウンスが流れました。さらにキャストの人たちはTDLの売店から、頭にかぶるキャラクターのぬいぐるみを持ち寄り「これで頭を覆ってください」「頭を守ってしゃがんでください」と呼びかけ、ぬいぐるみを防災頭巾がわりにして対応したのです。
 TDLではゲストの安全確保のため、全スタッフが年間180回もの非常訓練をこなしていました。TDLは10万人の入場者がいるときに、地震が起きたらどうなるかを想定したうえで、2日に一度の訓練を実行していたのです。また、TDLは情報開示の対応も素晴らしかった。地震当日の18時30分には、「ゲストとキャストともに誰ひとりケガ人はいません」といったIR情報を出しました。
 東京電力の人たちは、まるで免罪符のように「想定外」という言葉を使いますよね。しかし、大震災をすべて想定内として実行していたのが、TDLでした。そういう組織が日本にあった。今、日本が問われている危機管理は、ミッキーとミニーから学ぶべきなのです。
ファーストヴィレッジ(株) 代表取締役社長 市村 洋文 氏 これからのポイントは、アジアのなかの日本という考え方です。アジアに進出する日本企業は、アジアに製造拠点をつくっています。キャノンやパナソニックはベトナムに工場を持っていますが、そこで働く日本人は20人、現地の従業員が5,000人という割合です。
 ベトナムの従業員の月給は5,000円ですが、日本の従業員は50万円。日本人1人でベトナム人100人を雇うことができます。そうなれば、そこがアジアでの工場になる。労働力の量と賃金の安さといった部分では、日本はアジアで勝てないのです。
 日本が世界での競争に勝てるのは、クオリティの高さや製品の信頼性です。クオリティの高い日本規格の製品を現地で製造し、消費国に売っていくという仕組みをつくらなければならないと思います。過去2回の危機を日本は乗り切り、チャンスに変えているわけですから、日本人はできるはずです。

(つづく)

【文・構成:山本 剛資】

≪ (1) | (3) ≫

<プロフィール>
市村 洋文(いちむら ひろふみ)
市村 洋文 1959年、北海道生まれ。立教大学社会学部に入学。在学中に、学生旅行ツアーを企画。年間1,000台のバススキーツアーを企画し、4年間で60億円の売上を上げる。学生起業家の走りである。大学卒業後、野村證券㈱入社。新宿野村ビル支店時代に引き継いだ預かり資産を20億から2,000億に増やすなど手腕を発揮。個人で月間投信販売額500億円、月間手数料収入6億円の記録を打ち立てた。その後、最年少で大森支店長に抜擢される。それから野村證券における本社営業企画部など、超エリートコースを歩む。KOBE証券(株)に専務取締役としてスカウトされ、その後社長として預かり資産1兆4,400億円を集め、KOBE証券を1人当たりの預かり資産で野村證券を抜くまでに成長させた。また、まったくの独立証券でありながら、証券会社リーグテーブルで堂々の第12位(03年度)につけ、06年3月に株式公開を果たした。07年4月よりファーストヴィレッジ(株)で代表取締役社長として、M&Aを中心とした経営コンサルを行なっている。


*記事へのご意見はこちら



※記事へのご意見はこちら

クローズアップ一覧
クローズアップ
2012年12月13日 14:11
クローズアップ
2012年12月10日 07:00
クローズアップ
2012年12月 3日 07:00
クローズアップ
2012年11月30日 10:41
クローズアップ
2012年11月29日 16:15
クローズアップ
2012年11月28日 10:45
クローズアップ
2012年11月27日 15:28
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル