中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
24日、日本の人気アイドルグループ「AKB48」は、上海の日本総領事館、上海市人民対外友好協会などの主催による日中友好イベント「上海ジャパンウィーク2011」に出演し、上海での初コンサートを行なった。会場となった上海外国語大学には抽選で選ばれた1,300人あまりのAKBファンが詰めかけ大盛況だったようだ。
こうした中国でのAKB人気にあやかろうと杭州の女子大生グループで2010年に結成された中国版AKB、その名も「AK98」。ネット上で話題となり日本のメディアも取り上げるほどになった。
この「AK98」はAngel Kiss98の略で、当初24人によって結成され、「A」、「K」の2グループで活動を展開、メンバーはいずれもオーディションにより選出され、今後、98人まで増やす計画だという。
ネット上の書き込みでは「中国人の恥さらし」や「意外にかわいい」など賛否両論、中国版ツィッター微博の同グループのページではフォロワー数が13万人を超え、さらに増加している。
日本製品のモノマネや製法のパクリは許されるものではないが、日中文化の融合という見地からすればパクリ歌手の出現などは、むしろ歓迎すべき現象ではないか。
以前は、日本でも演歌花盛りし頃、POPな曲調で歌う新人歌手を和製ホィットニーだ、和製マドンナだの欧米の歌手と比較して和製という言葉を使うことが多かった。今では和製という言葉をわざわざ使うとすればH2Aに代表されるロケットぐらいのものであろう。
「AK98」の場合も楽曲そのものを真似てCDなどを販売しているのであれば問題だが、スタイルや踊りをAKB48に真似て活動しているのであれば、本家のAKB48にとっても中国進出の下地をAK98が作ってくれているという解釈も成り立つ。AK98の活動を見てAKB48のことを知る中国人もたくさんいるのだ。
広義に解釈すれば、ものまねもひとつの文化であろう。本家のAKB48が中国のAK98を日本に招待して、日本で合同コンサートを開催できるようになれば、日本と中国の更なる文化交流が図れるようになるかもしれない。
【杉本 尚丈】
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