中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
しかし、車内に血だらけで横たわる人や変形した車両など、事故直後の車内の様子が携帯電話や中国版ツィッターなどで伝えられるにしたがって、事故の大きさが白日の下にさらされることとなった。
この事故は、新天地駅で信号設備の故障が発生したため、専用電話で連絡することにより、同一区間内に複数の電車が進入しないようにする「電話閉塞方式」で徐行運転を開始した直後に発生したようだ。だが、車両の変形具合や乗客のケガの具合からみて、とても徐行運転をしていたとは思えない状況だ。この故障したという信号設備は、7月に死者40人を出した浙江省温州市での高速鉄道追突事故と同様の信号系統だったという。ちなみに、この地下鉄路線も、昨年開催の上海万博を機に開通した、まだ1年しか経っていない新路線だ。とすると、万博に合わせてトッカン工事をしたのでは、とのうがった見方をされても仕方がない。
今回の地下鉄追突事故について、日本のメディアでは事故後4時間で運転を再開したと伝えたが、27日夜になって上海政府は事故のあった地下鉄10号線を28日運休し事故調査にあたると北京中広ネットが報じた。高速鉄道の事故調査報告がでないまま、新たな事故が発生した状況で鉄道省から正確な事故調査報告が出されるものかどうか、今後の進展を待ちたい。
また、今回の事故で活躍した中国版ツィッター「微博(ウェイボ)」。そのサイトを運営する新浪網は先週(~23日)、中国政府の方針で中国版ツィッターが閉鎖されるとのうわさが流れ、米ナスダックで株価が暴落するという憂き目にあったばかりだが、今回の活躍でさらに中国政府に目を付けられることとなったのか、こちらも注目されるところだ。
【杉本 尚丈】
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