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東京電力、大リストラへ 切られるのは王国の民か?(中)
脱原発・新エネルギー
2011年10月 5日 07:00

東京 ≪人件費≫ 東電は2013年度末までにグループ会社の売却や希望退職の募集実施によって、連結ベースで7,400人、単体ベースで3,600人を削減する方向で検討しているが、これについて委員会はおおむね了とした。東電は10月、福島などの賠償業務応対要員に6,500人を充当し、年度内にはさらには9,000人に拡充する予定でいる。この点をふまえて委員会は、今後2年間は賠償実務にかなりの数の要員が必要と考え、東電が希望退職の実施を13年度に先送りする考えについても是認している。ただし、顧問12人(うち天下り3人)の年収総額は8,500万円、嘱託466人(うち天下り48人)の年収総額は20億2400万円もあるため、今後、天下りやOB処遇の温床となっている顧問と嘱託制度は廃止を含めて検討の俎上にあがりそうだ。

 東電は6月から管理職の年収を25%減、一般社員の年収を20%も削減している(このうちの賞与に関して言えば管理職は62%カット、一般社員は半減)が、これによって東電の待遇は大幅に悪化したという。震災前の社員の年収は大卒、高卒ともおおむね高水準だったが、震災後は、大企業平均はおろか全産業平均よりも下回った。委員会によれば、この人件費抑制を10年間続けると最大で5,210億円のコストカットが実現できるという。

 さらに委員会は報告書のなかで、年金・退職金については、現役とOBを対象に、現行の2,0%の給付利率を1,5%削減するとともに、終身年金を30%削減する案を採用した場合、10年間で1,170億円のコスト削減効果があると試算した。福利厚生施策でも(1)健康保険の会社側負担率の引き下げ、(2)財形年金貯蓄の廃止、(3)持ち株奨励金の引き下げ――などで10年間に460億円圧縮する。
 委員会は、これらの諸施策によって人件費は10年間で1兆454億円も減らすことができる、と結論づけている。

 ≪資産売却≫ もうひとつのリストラ原資は、潤沢な保有不動産の売却である。東電は連結簿価ベースで1兆2,000億円余の不動産を持っているが、委員会は、このうち発電所など電気事業用資産を除外した「非電気事業用不動産」4,670億円相当を洗い出した。賃貸マンション、厚生施設、ホテル、研修施設、社宅など900件2,472億円相当を売却すべし、と位置づけた。東電は、不動産売却では1,000億円程度しか捻出できないと委員会に主張してきたので、それと比べれば切り込んだ形にはなっている。
 しかし、最も資産価値の高い東電の都心の3つのビル――本店本館(内幸町)、新幸橋ビル(同)、東新ビル(新橋)――をみると、1983年築の4階建ての東新ビルについてのみ委員会は売却と判断したものの、帝国ホテル東京の隣にある本店本館や第一ホテルに隣接する新幸橋ビルの売却は見送っている。東電側が無線鉄塔などの設備があることを盾に、「第三者に売ってリースバックで借りても賃貸料がかかるだけ」と強硬に抵抗してきたからだ。
 彼らの本拠地である本店と、97年築のきれいな新幸橋ビル(本店別館といわれる)を死守する半面、保有する有価証券3,500億円は、今後3年間でほぼすべての3,301億円相当の売却を促している。KDDIやリクルート、3メガバンク、日立製作所、東芝、三菱重工、テレビ朝日などの上場株式が対象となる。

(つづく)

【尾山 大将】

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