中国山東省青島市郊外のホテルで、日々変わり行く中国を観察している現地滞在のフリーライターがいる。福岡と青島を定期的に行き来している彼に、リアルな中国の今をレポートしてもらった。
日本では連日のように大きく報じられている「アメリカウォール街のデモ」、ゴールデンウィーク(国慶節)真っただ中の中国では3週目に入ったところでようやく一部の中国メディアがニュースとして取り上げた。それでも、インターネットのニュースサイトがデモの状況を小さく報道しただけで、一般報道はほとんどない。
在米の中国人ジャーナリストが、抗議デモの拠点となっているマンハッタンのズコッティ公園のなかで中国国旗を掲げている白人男性を取材。その白人男性が、「共産主義が米国を救う」と主張し、なぜか事故が起きたばかりの中国の高速鉄道を例に挙げ、「政府に権力が集中すればインフラ建設も速いし、行政の効率化も進む。米国の経済衰退は好戦的な政策と資本主義を押し通した報いだ」とする男性の主張を報道した。
一方で、「中国でも拡大する庶民の金持ちを憎む現象は同様で、わいろや横領で私腹を肥やした『官僚富豪階級』はどうするのか。共産党は社会の富を平等に分けなければ、もはや共産党とは呼べない。太平洋の向こう側で起きたデモに中国の『官僚富豪階級』は震え上がったことだろう。もはやウォール街は財産を移したり、逃げ込んだりするのに安全ではなくなった」とする報道もネット上を駆け巡った。
アメリカにいる中国人ジャーナリストは、「中国共産党はマルクス主義の政党であり、労働者階級の政党である。毛沢東は『全世界の無産階級よ、団結せよ!』と呼びかけたとして、今回のウォール街でのデモを支持し、「全世界はなぜウォール街のデモ活動を大きく報道しないのだ」と強く主張している。
しかし、彼の本国ではデモ活動を助長するような報道は規制されているのが現実だ。
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